06/11/15
■ 糞便培養法について
【質問】
 最近, 微生物検査に配属になった検査技師です。現在, 私の検査室で行われている培養法に疑問を感じたため教えていただきたく, メールしました。

 現在, 私の施設では便培養をする際に, 1 ml, 4 ml, 5 mlの生食を用意し, 1 mlの生食に0.1 mlの便を入れて希釈 (A) し, A検体からスポイドで一滴, 4 mlの生食に入れて希釈 (B), さらにB検体からスポイドで一滴, 5 mlの生食に入れて希釈 (C), このA, B, Cの検体をそれぞれ分離培地に接種し, C検体に生えてきたもののみ同定, 薬剤感受性検査を行っています。質問は:

(1) Cの検体に大腸菌, クレブシエラ, エンテロコッカスが生えた場合, 病原性とすることに意味があるのでしょうか???
(2) 他にこのような培養法を行っている施設はあるのでしょうか???

教えてください。ちなみに, 検体接種する培地は, 血液寒天, BTB, CT/SS, TCBS, キャンピロを使ってます。

【回答】
 通常の糞便培養検査は, 下痢の原因菌を検索するためと監視培養のために行われ, それぞれの検査対象となる菌を選択的に分離する培地を使用することは教科書などでご存じと思います。質問にある“糞便を希釈する検査方法”は, 日常検査で用いられることがほとんどありません。糞便中には大腸菌やクレブシラ, 腸球菌などが常在菌として多数いるため, 定量の意味が不明です。私の知る限りでは, このような方法で培養検査を実施している他の施設はありません。今一度, 先輩の微生物検査技師に確認をしては如何でしょうか。

(愛媛大学・村瀬 光春)

【質問者からのお礼】
 お忙しい中, お返事ありがとうございます。いろいろ本を見ても糞便を希釈するような方法は書かれておらず, 悩んでおりました。明瞭な回答を頂き, 変更する方向でいきたいと思います。ありがとうございました。


戻る