■ 糞便検体の嫌気性培養 | |
【質問】
約300床の病院の検査技師をしています。当院では, 細菌検査はすべて外注検査所へ委託しております。ある臨床医より, 「何故, 便検体を嫌気培養するのか??? 嫌気ポーターという便検体を採取するのに適していない採取容器に採取しなければならないのは業務がしにくい。クロストリジウム・デフィシールの培養だったら, CDトキシンAを検査すべきではないか??? 感度が悪いことは知っているが, 培養検査自体もそんなに感度がよくないではないか???」と言われてしまいました。このまま, この臨床医の言う通り, “便検体の嫌気性培養を行なわないようにすると, どのような問題が発生する可能性がある”のか教えて下さい。また, 嫌気性培養を行なった方がいいのであれば, 説得方法を教えて下さい。 また, 入院時の検査において, 『喀痰・咽頭・鼻腔』の培養検査を行なっている先生方がいらっしゃいますが, MRSAなどの感染症の持ち込みを警戒しているのでしょうが, 無駄なような気がします。意味のあることでしょうか??? 【回答】
(1) 少なくともトキシンA陰性, トキシンB陽性の変異株によるCD関連疾患の診断ができない。その他の変異株によって起こっているCD関連疾患を見逃してしまう可能性がある。 (2) アウトブレイクが発生した場合の対応に支障を来す。
(岐阜大学・渡邉 邦友) 入院時検査として『喀痰・咽頭・鼻腔』の (MRSA) 培養検査に意味があるのか否かという点ですが, 貴君の所属している医療施設, 地域がどのような状況なのか不明ですので, 一概に無駄とも言えません。確かにMRSAに関しては市中感染の頻度も高くなり, 分離されたMRSAが市中由来なのか, 院内由来なのか決定することも困難な状況になっています。しかし, 検査依頼を行う医師に明確な目的があれば無駄なことはないと考えますが, 如何でしょう。一度, 担当医師と話し合って真意を尋ねてみては如何でしょう。 (琉球大学・山根 誠久) |