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【質問】
五歳の女児で咳が持続しています。ツベルクリン反応は陽性でした。糞便中の菌は,
ガフキー2号ぐらいの陽性でした。菌の形態は, 一般的に見られるようなタイプと,
“やや小ぶりな菌”が混在していました。培養, PCRなどはしていません。疑いのない下痢便を対象に検査したところ,
小ぶりなタイプの抗酸菌がわずかに認められました。事情があり, 培養やPCRでの確認はできない状況です。
糞便中から抗酸性染色陽性の菌が認められても,
臨床的意義の評価は低いのでしょうか???
【回答】
糞便からの抗酸菌検査は, 通常, エイズ患者や免疫不全患者の非結核性抗酸菌の検出を目的に検査されます。糞便の抗酸菌染色では,
環境由来 (食餌由来) の抗酸性物質が染色される場合がありますが, 抗酸菌染色が正確,
適切に行われているのであれば, 糞便検体での陽性結果は大変重要です
(大変だぁぁ)。培養検査やPCR検査は, 事情があって実施されていないとのことですが,
検査室としては臨床医に, 「糞便の抗酸菌染色は陽性です。培養検査やPCR検査が必要です。依頼して下さい」と強く要請することです。何故,
担当医は貴方の検査室に抗酸菌染色の依頼したのでしょう??? やはりなにかを疑ったのではないでしょうか。とすると,
陽性の結果を無視せず, 次なる確定診断への試みを行うのが, 医学を修めた医師の務めだと考えます。また,
ある検査結果から, 重要な確定診断につながる検査項目を助言できることが, 望まれる臨床検査技師だと思います。
(琉球大学・仲宗根 勇)
【質問者からのお礼】
回答ありがとうございます。現在パキスタンの病院勤務をしております。培養はできないわけではありませんが,
PCRは難しい状況です。喀痰の塗抹陽性は多く, 時には尿・糞便からも陽性例が出ています。糞便の陽性例では,
形態が喀痰とは少し違いがあるように思え, 気になっていました。早速の回答,
ありがとうございました。
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