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【質問】
糞便中から検出される真菌の臨床的意義を教えてください。依頼元は血液科の化学療法患者で寝たきりで長期入院患者です。菌量が問題となるとは思いますが,
真菌のみしか発育しない場合は, 菌量に関係なく“下痢の原因”と考えるべきなのでしょうか。教えてください。
【回答】
ご存知のように, 一般的には糞便からは細菌培養すると多数の菌種の細菌や真菌が検出されます。しかし,
長期にわたる抗菌剤を服用すると, 使用した抗菌剤に対して感受性のある細菌は死滅し,
耐性の細菌や真菌のみが生存することになり, 菌交代現象が認められるようになります。これはヒトが健康を保つうえで“マイナス”となります。質問にあるように,
菌量に関係なく, 真菌のみが発育した場合は, これを下痢の原因とすることができるか???
答えは, これだけでは原因とすることはできません。下痢の原因とするためには,
さらなる調査が必要です。質問では菌種名が明らかにされていませんので, これも問題解決を困難にしています。真菌には多くの菌種があり,
病原性にも差異があります。また, 自然環境にも極めて多数の真菌が生息しています。
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