05/05/11
■ 粉末食品の細菌検査
【質問】
 現在, 小麦粉の様な粉末製品の細菌検査 (一般生菌, 大腸菌群, 真菌) の方法は, 緩衝食塩水に粉末製品を入れて攪拌 (製品自体はほとんど溶けない) 後, 静置し, 上澄み液を検査しております。この方法ではほとんど細菌が出ません。しかし, 粉末を直接培地に入れると沢山の細菌が出てきます。粉末が緩衝食塩水に溶け込まず, “粉末の一粒一粒が沢山の細菌を抱きかかえている様なイメージ”で, シャーレーの培地の部分的な箇所に細菌が集中して発生して個数が数えられません。この様な時の細菌検査の方法はどの様な手法で実施すべきなのでしょうか??? 現状, 小麦粉などはどの様な手法で行っているのでしょう???

【回答】
 小麦粉に関して回答します。まず, 食品衛生法の食品の規格基準の成分規格には微生物に関する規定はありません。また, 生めん類の衛生規範などについて (平成3年4月25日 衛食第61号) の第7のB「営業者の検査」において, 原材料, 半製品および製品に関して1月に1回以上検査を行うこととなっています。検査は, 検査対象を考慮して適切に行うこととなっています。微生物に関しては, 細菌数 (生菌数), 大腸菌群およびE. coli, 黄色ブドウ球菌, カビおよび酵母が挙げられています。大腸菌群およびE. coliの検査方法は, 冷凍食品の検査方法に準ずると記載されています。試験法が定められていないものの, 検査は食品衛生検査指針および衛生試験法注解 (日本薬学会編) で行うことと記載されています。

 前置が長くなりましたが, 基本的には質問者が行っているように, 検体を秤量し, 10倍希釈になるように希釈液を入れ, ホモジナイズする方法が妥当と考えられます。この方法で細菌が検出されず, 粉末の直接法で沢山の細菌が出るとしたら, 沢山を1,000 CFUと考えた場合, 10倍希釈で100 CFU数えることができる筈です。また, 粉末の直接法において, 培養平板にコロニーを確認できるとしたら, 静置後の上澄み液ではなく, ホモジナイズ後, すぐに太めのピペット (5 mlや10 mlピペット) で吸い取り, シャ_レに1 mlずつ分注し, 混釈培養してください。また, どうしても生菌数を確認したい場合はMPN法をお勧めします。試料を適宜10倍段階し, その各段階の希釈液1 mlをトリプトソ_ヤブイヨンなどの増菌培地10 mlへ接種して培養します。5本法で試験してみて下さい。培養後, 微生物の増殖による濁りを確認し, 陽性試験管数からMPN表を用いて菌数を推定します。

(日水製薬・小高 秀正)

粉末の一粒一粒が沢山の細菌を抱きかかえている様なイメージ”をお持ちでしたら, 事前に, 充分に試料をホモジナイジ, 必要でしたらさらに粉砕して検査することです。

(琉球大学・山根 誠久)


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