■ 粉末食品の細菌検査 | |
【質問】
現在, 小麦粉の様な粉末製品の細菌検査 (一般生菌, 大腸菌群, 真菌) の方法は, 緩衝食塩水に粉末製品を入れて攪拌 (製品自体はほとんど溶けない) 後, 静置し, 上澄み液を検査しております。この方法ではほとんど細菌が出ません。しかし, 粉末を直接培地に入れると沢山の細菌が出てきます。粉末が緩衝食塩水に溶け込まず, “粉末の一粒一粒が沢山の細菌を抱きかかえている様なイメージ”で, シャーレーの培地の部分的な箇所に細菌が集中して発生して個数が数えられません。この様な時の細菌検査の方法はどの様な手法で実施すべきなのでしょうか??? 現状, 小麦粉などはどの様な手法で行っているのでしょう??? 【回答】
前置が長くなりましたが, 基本的には質問者が行っているように, 検体を秤量し, 10倍希釈になるように希釈液を入れ, ホモジナイズする方法が妥当と考えられます。この方法で細菌が検出されず, 粉末の直接法で沢山の細菌が出るとしたら, 沢山を1,000 CFUと考えた場合, 10倍希釈で100 CFU数えることができる筈です。また, 粉末の直接法において, 培養平板にコロニーを確認できるとしたら, 静置後の上澄み液ではなく, ホモジナイズ後, すぐに太めのピペット (5 mlや10 mlピペット) で吸い取り, シャ_レに1 mlずつ分注し, 混釈培養してください。また, どうしても生菌数を確認したい場合はMPN法をお勧めします。試料を適宜10倍段階し, その各段階の希釈液1 mlをトリプトソ_ヤブイヨンなどの増菌培地10 mlへ接種して培養します。5本法で試験してみて下さい。培養後, 微生物の増殖による濁りを確認し, 陽性試験管数からMPN表を用いて菌数を推定します。 (日水製薬・小高 秀正)
“粉末の一粒一粒が沢山の細菌を抱きかかえている様なイメージ”をお持ちでしたら, 事前に, 充分に試料をホモジナイジ, 必要でしたらさらに粉砕して検査することです。 (琉球大学・山根 誠久) |