05/02/04
05/02/08
■ 「牛乳ピペット」について
【質問】
 有効な情報を提供いただき, ありがとうございます。今回は“牛乳ピペット”について3つ質問させていただきます。

 牛乳ピペットは乳等省令に記載されているガラス器具で, 一般的なメスピペットとはやや異なっています。しかし, 乳等省令には使用方法についての記載がないため, 使用方法を指導する際に確たるものがなく, 一般常識から説明するにとどめてる状況です。そのような中, 昭和35年発行の「食品衛生検査指針」にこのピペットについての記載があるのを見つけました。この記載をもとに, 以下の質問をさせていただきます。

(1) この記載では, ピペットの目盛ごとの容量を「20℃において排出される水の量」として示していますが, 目盛と水の量が一致していません。例えば1 mlは「1.075 ml」となっています。これはどのような理由によるものでしょうか (自分は, 試料液がピペットの壁面に付着するので, その量を考慮しているのではないかと理解しています)。

(2) 牛乳ピペット内の試料液を全量排出すると, 先の部分にいくらか残ります。これは吹き出してもよいのでしょうか。それとも, 残ったものは壁面に付着したものの集りと理解して, 吹き出さなくてもよいものでしょうか (吹き出しはコンタミ防止の面からも避けたほうがよいとは思いますが)。

(3) 1990年, 2004年発行の「食品衛生検査指針」には牛乳ピペットの記載がありません。しかし昭和35年版のこの記載は今も生きていると理解してよろしいでしょうか。

以上, よろしくお願い申し上げます。

【回答】
(1) American Public Health Association発行の「Standard Methods for the Examination of Dairy Products」16th edition (1992) によりますと, 細菌用ピペットの求められている精度は20℃において1.0 ml±0.025 ml, 1.1 ml±0.025 ml, 2.2 ml±0.040 ml, 11.0 ml±0.20 mlです。この時に使用するガラス製のピペットは20℃で水を1.075 mlを含むように目盛りが調整されているものとしていて, ピペット内試料は2_4秒以内に混釈用シャ_レに入れることになっています。プラスチック製のピペットを使う場合は, 20℃で水を1.055 mlを含むように目盛りが調整されているものを使用するとなっています。この理由として, “ピペットの壁面や先端に残る牛乳を考慮するため”と記載されています。

(2) 同書籍によりますと, 牛乳原液は最後の1滴は吹き出し, 希釈した牛乳はピペットの先をシャーレへ接触させるとあります。

(3) 牛乳ピペットは, 現在でも使われていると理解してください。菌数が少ない牛乳や粘稠度の高いクリームのようなものは11.0 mlのピペットを使用します。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 ご回答いただき, ありがとうございます。APHAの書籍を確認してみます。今後もいろいろと質問させていただきますので, その際はよろしくお願い申し上げます。


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