06/11/15
06/11/16
■ はっ酵乳や乳酸菌飲料を含むアイスクリームの細菌数測定方法
【質問】
 国内に流通している食品の衛生状態の監視を行っております。直接検査を担当しておりませんが, GLP上の精度管理などから検査法についても勉強しているところです。今回質問させていただいたのは“アイスクリーム類における細菌数の測定法”です。「食品衛生法」にはアイスクリーム類の成分規格があり, 細菌数 (標準平板培養法で1 gram当たり) が次のようになっています。

 アイスクリーム: 100,000以下
 アイスミルク: 50,000以下
 ラクトアイス: 50,000以下

 これらの基準値には補足説明があり,「ただし、はっ酵乳又は乳酸菌飲料を原料として使用したものにあっては、乳酸菌又は酵母以外の細菌の数が上記に示したそれぞれの基準値以下」となっています。しかし, アイスクリーム類の細菌数の測定法を確認すると, いわゆる一般細菌数の測定法について記載されているのみで, はっ酵乳または乳酸菌飲料を原料として使用したアイスクリーム類の細菌数の“測定方法”については明記されていません。はっ酵乳または乳酸菌飲料を原料として使用したアイスクリーム類について, 記載されている方法で測定を行えば, 細菌も乳酸菌なども区別できないと考えられますので, 成分規格をクリアしているのか否か判断できないように思います。出来上がった製品や実際に流通している製品を検査する場合にはどのように対応したらよいのか??? と考えています。よろしくお願いします。

【回答】
 まず, 一般細菌数は標準寒天培地に発育したすべてのコロニー数を測定して算出します (測定のルールに従います)。食品衛生の監視をされているとのことですが, 標準寒天培地のコロニーの形状から, 乳酸菌か否かの判断をする必要があります。回答者の経験から, コロニー形状とグラム染色を繰り返すことで, 肉眼的に乳酸菌のコロニーを識別できるようになります。また, もし可能なら乳酸菌用としてBCP加プレ_トカウント寒天培地や選択培地のMRS培地の併用を推奨します。酵母に関しては, クロラムフェニコ_ル添加のポテトデキストロ_ス寒天培地を使用してください。培養後, 標準寒天培地, 乳酸菌用培地, カビ・酵母用培地のそれぞれの菌数を算出します。最後に, 標準寒天培地の菌数から乳酸菌用培地, カビ・酵母用培地の菌数を引きます。その結果,「乳酸菌又は酵母以外の細菌の数」が算出されます。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 大変勉強になりました。ありがとうございました。


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