06/03/06
■ 針刺し事故とB型肝炎ワクチン
【質問】
 こんばんわ。初めてご投稿させていただきます。私は一般病棟に勤務する看護師です。早速質問させていただきます。

 3年前にHBV (+) の患者の針刺し事故を起こした同僚がいます。彼女はHBs抗体陰性でしたので, 事故直後, 直ちにワクチンを打ち, 感染することなく抗体を獲得しました。しかし, 今年9月にまたHBV (+) の患者の針刺し事故を起こし, 血液検査を行ったところ抗体が消失しており, その際に再度追加接種をしたけれど約3ヵ月後の抗体は「陰性」のままで抗体は獲得していませんでした。

 確か, 一度抗体を獲得していたら, その後抗体が消失してもT細胞が記憶しているので, 追加接種をすれば, 急速にまた抗体が陽性になると聞きました。彼女は何故, 追加接種をしたにも拘わらず, 抗体が付かないのでしょうか??? またHBVに感染する可能性は考えられますか??? このまま抗体が陽性にならないということはあるのでしょうか・・・宜しくお願いいたします。

【回答】
 正しく不思議な現象です。ワクチン接種をしてHBs抗体が陽転したが, 3年経過したら陰性になっていて, 追加のワクチン接種をしてもHBs抗体が陽性にならない・・・私なら, まず抗体検査の結果を疑います。前回の結果と今回の結果が本当なのか否かを確認します。特に今回の陰性の結果を疑います。恐らく同僚の方は健康な看護師さんでしょうから, 前回の結果が本当は陰性であっても, 今回の追加接種で陽性になるのが普通です。

 注意してください。3年間に2回もHBV陽性患者の針刺し事故を同じヒトが経験するのは業務管理に重大な問題があると思います。また, 病院職員の抗体検査を行う場合には, その時の血清を正しく, 半永久的に凍結保存しておくことを強く勧めます。未知のウイルス (HXV) が発見され, その業務感染を証明するのに必要となりますから。

(琉球大学・山根 誠久)


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