■ ヘリコバクター・ピロリの分離について | |
【質問】
検査センターの細菌室に勤務する△▽と申します。臨床検査技師をしております。 胃粘膜組織片を用いたヘリコバクター・ピロリの培養・同定に関して質問させていただきます。インジコカルミンなどの色素を用いた内視鏡検査の後に採取された胃粘膜をホモジネイトし, ヘリコバクター選択培地に塗布, 培養することで“偽陰性”の結果が出てしまうことはないのでしょうか??? 最近, 私どもの施設で, 輸送培地上が青緑色に変色している検体が搬入されることがしばしばあります。インジコカルミンかと思われるのですが, 酸化還元作用の強い色素なだけに, 菌に及ぼす影響が知りたいのでよろしくお願いします。 【回答】
さてインジコカルミンですが, この色素は青色2号/青2/食用青色2号と言われて, 食品関係では古くから使われているもので, 特に食品の着色料としいて和菓子, 焼き菓子, あん類, 冷菓などに添加されているものです。ご質問のこのインジコカルミンですが, 確かに Helicobacter pylori に対して分離培養に影響を及ぼすような作用をもつかもしれませんね。少なくともその可能性はあると思います。ですが, この件について私が知る限りでは, きちんとしたデータは恐らくどこにも示されていないのではないかと思います。疑問に思われたのですから, 是非ともインジコカルミンが抗ヘリコバクター作用をもつのか否かの実験をされて, その貴重なデータを, この「質問箱」を提供している「臨床微生物迅速診断研究会誌: JARMAM」へ投稿していただくようにお願い申し上げます。多くの関係者が, そして私も, 是非とも知りたいところだと思いますので。 (信州大学・川上 由行) |