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【質問】
いつも勉強させていただいています。●●病院に勤める臨床検査技師です。
72才女性の患者さまです。前胸部の多房性腫瘤の穿刺液の抗酸菌培養にて,
塗抹 (陰性), 培養 (陽性), DDH法による同定でTB-COMPLEXでした。発熱および呼吸器症状,
その他感染兆候などの症状もありません。こういう場合, 先生が主治医なら積極的に抗結核薬剤による治療を行いますか???
病態も含めご教授おねがいします。
【回答】
77歳の女性で, 前胸部の多房性腫瘤の穿刺液からM. tuberculosis
complexが分離されたとのことですが, TB complexではなく, さらにPCRにより菌種の同定を試みる必要があります。M.
tuberculosis であれば治療の必要があります。検査材料は多房性腫瘤の穿刺液とありますが,
前胸部には乳線もあり, 乳線か, それ以外の部位かを明らかにする必要があります。また,
多房性腫瘤とありますが, この大きさ, 極在 (皮膚, 皮下組織, 筋肉など) が明らかにされていません。さらに,
多房性腫瘤は病名ではないので, どのような腫瘤かを明らかにする必要があります。これらを明らかにすることから,
治療法も決まってきます。文面から想像すると, ドクターは恐らく感染を疑い,
穿刺液の細菌検査を依頼したと考えます。ここでは, 腫瘍部への感染か, あるいは感染性の膿瘍なども疑われます。結核であれば,
細菌検査だけでなく, 組織検査を行えば結核の診断が可能です。組織診断で結核とされれば,
抗結核剤による治療が必要です。しかし, 結核性所見や感染所見がないのであれば,
経過を観察する程度にして, 積極的には抗結核剤を投与しなくてもよいでしょう。
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