■ 標準寒天培地に発育したコロニー形態 | |||
【質問】
●●株式会社品質保証部の■■と申します。標準寒天培地のコロニー形態について質問いたします。 店舗で提供している食品 (惣菜) の保存検査をしていたところ, 標準寒天培地に見慣れないコロニーが観察されました(写真1)。細かいコロニーが密集したようなものが散在しております。検査は平板法にて行い,
サンプルとなる食品は10倍希釈後にストマッカーにかけて均一化しております。検査時にはコンラージ棒にてシャーレに満遍なく塗抹しており,
コロニーが密集しているものが散在している点に疑問を抱いております。この場合,
検査時に汚染されてしまった可能性が高いと考えてよろしいのでしょうか
(同時に検査した他の食品のシャーレでは観察されませんでした)。また, 同様の検査方法で線状に連なったコロニーが観察されることもあるのですが
(写真2), これも同様に検査時の汚染の可能性が高いと考えてよろしいのでしょうか。お忙しいところ恐れ入りますが,
回答をお願いいたします。
【回答】 添付の写真を拝見しました。密集したコロニーの発生の可能性として: (1) コンラージ棒などの検査器具, 工程における汚染
が考えられると思います。 コンラージ棒が, ガラス製なのか, ディスポプラスティック製なのか記載されておりませんでしたが, 滅菌の不備あるいはディスポ製品では取り出し口の汚染などにより, 稀にコンタミネーションを起こすことがあります。コンラージ棒で培地全体に塗布しますので, 検体由来と誤判定する可能性があります。 コロニーが連なったり, 密集したりしている原因ですが, コンラージ棒に加える圧力によっては培地表面を圧迫し, その部分に沿ってコロニーが発育することもあります。また, 使用する平板培地の表面が十分乾燥しないままに塗抹を行った場合, あるいは試料が完全に培地に吸収されないまま培養を開始した場合など, コンラージの塗抹時に溜った試料液 (培地表面の水分を含む) を利用して, 菌が写真のようにつながった可能性があると思います (著しい場合にはコロニー同士が完全にくっついて広がってしまいます)。 再度, 滅菌器具の確認および検査の各ステップにおけるコンタミネーション発生の可能性, あるいは試験条件設定に不明瞭な部分がないか否か, などをチェックされることをお勧めいたします。 (日水製薬・三品 正俊)
【質問者からのお礼】
お忙しい中, ご回答いただきありがとうございました。ご指摘いただきました箇所について, 汚染の可能性の検証をしていくと共に, 培地表面が完全に乾いたことを確認してから培養するよう徹底してまいります。今後もご相談することがあるかと思いますが, 何卒よろしくお願いいたします。 |