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【質問】
食品検査で検査をしている者です。一般生菌と大腸菌群・大腸菌の検査を日々しているのですが,
最近一般生菌・大腸菌群ともに菌が検出されないのに, 大腸菌が出ることがあります。一般生菌が検出されないのに,
大腸菌が出る筈がない・・・検査の仕方に問題があるのでは??? と上司に言われました。なにが原因でこのようなことが起こるのでしょうか???
標準寒天培地とXMG培地で24時間培養しています。最近, こういったことが多く,
本当に悩んでいます。宜しくお願い致します。
【回答】
質問内容からだけでは, 何が原因で起こっているのかを推測するのは至難の業です。まず,
標準寒天培地中の食品検体からの残渣と菌集落の判別が正確に行われているか否かを再確認してください。XM-G寒天培地で青いコロニーらしき物で,
大腸菌「陽性」と判定していると考えられます。検査対象とした食品の種類が記載されていませんが,
食品残渣と酵素基質が反応して着色していることも考えられるためです。XM-G寒天培地の組成は,
大腸菌・大腸菌群に対して発育を促進する組成になっていますから, コロニー数にもよりますが直径1_2
mm以上のコロニーを形成します (食品微生物検査改訂版 培地マニュアル, 日水製薬:
写真が掲載されています)。質問者の微生物学の知識や技術, 経験がどの程度なのかわかりませんが,
XM-G寒天培地で青いコロニーらしき物を釣菌し, 純培養を行ってみてください。恐らく,
純培養は出来ないと思いますが (細菌ではないと考えるから), もしその菌の純培養に成功したら,
その後, グラム染色や生化学性状の確認を行ってください。さらに, その菌を標準寒天培地とXM-G寒天培地へ接種,
培養して確認してください (質問者の内容から, 標準寒天培地では発育せず, XM-G寒天培地に発育する細菌の可能性を確認するため)。回答者も,
上司の方と基本的に同じ考えで, 一般細菌数≧大腸菌群数>大腸菌数です。回答者自身がいろいろな食品を検査した経験からも,
この考え方は間違っていないと思います。重複しますが, サンプル調製, 培地での混釈,
無菌操作, 判定など, 一連の作業 (検査の仕方) を再確認してください。
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