04/11/19
■ イソジン消毒後のハイポアルコールの使用について
【質問】
 透析前の穿刺時に, 広範囲に (1) イソジン消毒, (2) ハイポ消毒, (3) ガーゼでふき取るという方法をとっています。イソジンが乾燥する前にハイポを使用しています。それでは消毒効果が減弱するということを知り, (1) アルコール綿で清拭, (2) 穿刺部のみをイソジン消毒という方法に変更することを考えていますがこの方法に何か問題点はないでしょうか??? 回答を, どうかよろしくお願いします。

【回答】
 従来, 血液透析開始前におけるブラッドアクセス穿刺部位の消毒方法については, 施設毎に消毒手技 (薬) が異なり, 標準的な方法は確立されていませんでした (注1)。質問者の施設の問題点は, 10%ポピドンヨード (以下, イソジン) 消毒の後にハイポ (アルコール) を使用している点です。穿刺部の感染防止という観点から考えると, 穿刺後, 抜針時まで消毒された状態を維持することが重要ですが, アルコールはイソジンの残存消毒効果をなくしてしまいます。イソジンで消毒した後は, アルコールを使用せず, イソジンを乾燥させ, 適正な時間 (イソジンは約2分間ほど, 乾燥までの時間が必要) 拭き取らずにおき, 皮膚が乾燥した状態になってから穿刺することです。しかしながら, 時間的な問題もあり, 消毒薬が乾く前に滅菌ガーゼで消毒液を拭き取る手技,「ふき取り法」も実際は広く行われています (注2)。イソジン塗布後に拭き取りで術野を乾燥させた場合, 消毒効果は自然乾燥させた場合と差がなかったとする報告もありますのでこの手技でも問題はありません。質問者の, (1) アルコール綿で清拭, (2) 穿刺部のみをイソジン消毒へ変更する方法も一案ですが, 従来の方法から, ハイポアルコール処置を省いた方法でも構わないと思います。

〔注1〕平成11年度に公表された「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル (改訂版)」では, 消毒薬はグルコン酸クロルヘキシジン, ポピドンヨード, 塩化ベンザルコニウムの記載がありますが, 平成16年9月に公表された改訂第2版[http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/10/tp1005-1.html]ではポピドンヨード (10%イソジン液) だけが推奨されています。

〔注2〕透析会誌 36 (10): 1539〜1544, 2003.

(琉球大学・糸嶺 達)

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