■ 純培養後のコロニーの大きさの変化 | |
【質問】
はじめまして。製薬会社で動物の微生物検査を担当している者です。動物の咽頭粘液を血液寒天培地に塗抹後, 37℃, 48時間培養し, 肺パスツレラ菌 (Pasteurella pneumotropica) の検査をしています。この検査でカタラーゼ反応 (+), オキシターゼ反応 (?) の陰性桿菌を示すコロニー (色調: 灰白色, 大きさ: 2 mm) を肺パスツレラ菌の被疑菌として選択します。このコロニーについて, 同定するために純培養したところ, コロニーの大きさが1 mm以下の非常に小さなコロニーになってしまいました。しかし, 先程あげた大きさ以外の性状は同じなので, 間違いなくこのコロニーを純培養していると思います。ちなみに, このコロニーはスライド凝集反応で肺パスツレラ菌は否定されていますが, 同定はできませんでした。“純培養でコロニーの大きさが変わってしまう原因を教えて下さい”。 【回答】
一方,分離培養と同じ培地に純培養された場合ですが,極端に集落が小さくなることは通常は考えられません。培養環境や温度,時間などが同じであるとするならば,培地のロット差の問題になるかと思います。市販の生培地を使用されているのであれば, メーカーで良く品質管理されていますので大きな差はないと思います。もし生培地を購入されているのであれば, 一度メーカーに問い合わせてみてはいかがでしょうか。血液寒天を自家調整されている場合には,変動因子はさらに多くなります。添加する血液や基礎培地のロット差あるいは培地作製後の培地の水分量なども影響します。また一般的に, 作製直後の培地が最も発育が良好であり,時間の経過とともに発育支持力は低下するといわれています。程度の差はありますが,新しい培地と古い培地とでは集落の大きさが異なることはあり得ます。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭) |