06/12/27
■ “かび”の食品検査
【質問】
 食品検査の仕事をしておりますが, “かびの検査”を務めことになり, 現在色々なカビに関する本を読んで勉強中なのですが, 初歩の段階でつまづいています。ご指導の程, よろしくお願い致します。

(1) CP添加ポテトデキストロース寒天培地には, 何mlの試料液を塗抹       したらよいのか。0.1 mlだと培地への試料液の吸い込みはよいのですが, 培地の枚数がかさんでしまいますし, 試料液の量を増やすと, 培地になかなか吸い込まれず, シャーレを上向きのまま25℃で48時間ぐらい培養し, その後で倒置する形になってしまいます。

(2) 上記の培地以外に, 同時平行して他の培地でも検査を行ったほうがよいのでしょうか??? お菓子や乾物にはM40Yも使ってみました。

【回答】
 最初に, 食品検査を業務としているとのことですから, 前任者や上司に貴社のやり方を聞くことを勧めます。二通りの公的に示されている方法を記載します。食品衛生検査指針 (2004) によりますと, 0.5 mlまたは1.0 mlを分離培地表面に均一に塗抹すると書かれています。培地の種類に関しては, 好乾菌の菌数を把握したい場合にはM20Y寒天培地やM40Y寒天培地などが用いられていると書かれています。FDA-BAM法では, 0.1 mlの試料を3枚のDichloran rose bengal chloramphenicol (DRBC) agarへ塗抹するとなっています。また, 1.0 mlの試料を用いて, ジクロラン18%グリセロール培地 (DG18) による混釈法 (同じ希釈液を3枚) も示されています。結果は, 3枚の菌数の平均で算出します。

 食品検査のデ_タを第三者へ提出するときは, 公的な方法が必要と考えられますが, 自社製品に対する自主検査では, 簡便な方法でスクリーニングすることも必要です。回答者のグループで開発した, 簡易にカビ・酵母数を測定できるコンパクトドライYM (1 ml接種) とFDA-BAM(DRBC)のやり方を, AOACによる評価プログラムに従い比較検討し, 果物類に対するカビ・酵母の菌数測定で良好な結果を得ていることから, スクリ_ニング法の一つとしてコンパクトドライYMを推奨できます。

(日水製薬・小高 秀正)


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