05/12/13
05/12/26
■ 喀痰の結核菌・・・塗沫陽性・PCR陽性, でも培養は陰性
【質問】
 いつもお世話になっております。また質問があります。

 実は, 結核患者の管理検診で, 喀痰塗抹陽性・PCR陽性で, 培養陰性という事例に遭遇しました。この患者さんは7月に塗抹陽性 (4+)・PCR陽性で, 培養も陽性 (液体培地で1週間で陽性) で, その後治療を受けられたようです。今回 (11月) また喀痰を取り検査したところ, 塗抹陽性 (1+)・PCR陽性で, 培養陰性という結果になりました。この塗抹陽性・PCR陽性で, 培養陰性という原因は菌量が少なかった, あるいは痰の中にあった菌は薬の治療で死んでいた菌であったと考えていいでしょうか???

【回答】
 常識的には, 有効な抗結核薬による治療で, 喀痰中に“生存する結核菌”が極端に少なくなった, あるいは死菌のみになったと考えられます。しかし私の経験では, 結核菌そのものの性状が抗結核薬によって変化し得るとも考えています。例えば, 化学療法を開始すると, 喀痰から回収される結核菌は液体培地では発育できず, 卵培地のみに発育できたり, また逆に液体培地のみで発育し, 卵培地にはまったく発育しないといった経験があります。抗結核薬に曝された結核菌細胞の変化については, 今後の詳細な研究が待たれるところです。

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 そうそうのお返事ありがとうございました。参考にさせていただきます。


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