04/12/06
■ 環境, 手指の細菌検査について
【質問】
 はじめまして。病院で技師として勤めている者です。細菌室に配属されたばかりで初歩的なことばかり伺うかもしれませんが, どうぞ宜しくお願い致します。

1月に病棟を決めて, 手指などの検査を行いたいと思っているのですが, 普通どの位の量の細菌がいてもよいのか??? その判定基準などが分からない為, どのような方法で (どのような定量方法で) 検査を進めたらよいのかわかりません。推奨する方法やどの位の菌量が許容範囲なのかなど, ご教示いただきたくご質問させていただきました。

また, この様な検査の参考文献を何かご存知でしたら, ご紹介いただければ幸いです。宜しくお願い致します。

【回答】
 手指の細菌検査を行う目的は, 病棟の医療従事者からの院内感染防止のために手洗いの励行の資料を作成するためと理解いたしますが, 如何でしょうか??? 人の手には, 自己を防衛するために細菌が正常菌叢として嫌気性菌から通性嫌気性菌まで存在します。通常行われている検査法はパームスタンプ法やフィンガープリント法があります。前者は手形の培地 (SCD培地) に手掌全体を押しつける, 後者は培地に全指先の跡が残る程度押しつけて37℃で18〜24時間培養し, 発育してきたコロニー数を数えます。多くの文献は, 手洗い前後の比較で実験を行っています。菌数の許容範囲は, その人の日常における手洗いの回数や, その人自身の体質にも影響されますので不明ですが, 文献(1)では0〜55個の報告があります。参考文献をお示ししますので検討され, その結果を是非文献として投稿して下さい。

[参考文献]
(1) 高尾佳保里, 他: 手術時手洗い水について, 滅菌水の必要性に関する検討. 環境感染, 18: 430〜434, 2003.
(2) 山本恭子, 他: 強酸性電解水手洗いにおける皮膚への影響と除菌効果. 環境感染, 15: 213〜219, 2000.
(3) 大久保憲訳 (小林寛伊監訳): 医療現場医における手指衛生のためのCDCガイドライン, メヂカ出版, 大阪, 2003.

(愛媛大学・村瀬 光春)


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