05/08/24
■ 寒天培地にできたコロニー (夏休みの自由研究)
【質問】
 初めまして。子供の夏休みの自由研究で, 寒天培地を利用して様々な実験を手伝いました。3, 5 , 10日とたつと, 白かったコロニーの中にオレンジや黄色のものが出てきました。検査したものは便座, 洗った歯ブラシ, まな板, 冷蔵庫の取手などです。特に歯ブラシ, 便座などに多く見られました。自宅の顕微鏡では, 倍率の関係からか, 細菌なのか“かび”なのかはっきり分かりません。児童用の図鑑には, 寒天培地のコロニーの変化などまでは, 経過を追って記載されておりませんでした。これはいったい何なのか??? どの分野を調べれば子供が理解できるような説明が載っているのかなど, アドバイス頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

【回答】
 この時期, 夏休みの自由研究に関する質問が数多く寄せられます。自由研究の目的は, 子供達の興味と関心を呼び起こすことだと思いますが, 専門の器材とか, 参照できる参考書など, 限界もあると思います。“顕微鏡なし”で, 細菌なのか, “かび”なのかを区別するのは難しいと思います。ひとつできると思われるのは, そのままコロニーを放置することです。どんどん大きくなって, 表面が毛羽立ち, 着色してきたら, これは“かび”です。もうひとつは温度です。特に温めないで, 涼しい室温 (25℃程度) でどんどん大きくなるのも“かび”です。どうも質問に書かれた内容を見ると, 寒天培地にできたコロニーは“かび”のように思われます。キーワードを“かび”として, webで検索されれば, 専門の写真集に行き着くと思います。写真は, アスペルギルスという“かび”の巨大コロニーです。1週間, 室温 (25℃)で培養すると直径5 cmにも達する大きなコロニーが観察できます。ただ, 寒天培地にコロニーを作ってきた“かび”がいったいなんという“かび”かとなると, これはもう専門的過ぎて, 夏休みの自由研究の範囲を越えてしまいます。


(戸田新細菌学 山根原図)

(琉球大学・山根 誠久)

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