05/06/29
05/07/05
■ 結核菌ガフキー号数と感染の危険度
【質問】
 いつも丁寧なご返答ありがとうございます。今日看護婦さんから質問があり, ヒト型の結核菌としてガフキー1号と, たとえば3号ではヒトへの感染力に差はあるのですか??? との質問を受けました。また, それでは何号から特に気をつけなければならないのか, 何号からが危険なのですかとの質問もあり, 自分も, もしそういう文献でもあったらと思い探してみましたがみつかりませんでした。先輩の検査技師さんに聞いたところ, 三十年前ではガフキー何号だと危険なんだよという教育を受けたことがあるとのことでしたが, そもそも号数により危険度に差はあるのでしょうか??? ガフキー1号でも排菌していることに変わりはない訳ですから, 質問自体がナンセンスでしたら申し訳ありませんが, もし危険度に差があるようでしたらお教えいただけますか。よろしくお願いします。

【回答】
 結核菌を含むすべての病原微生物では, 基本的に“たくさん微生物があれば感染の危険度はより高くなる”と言えます。それは希釈試験から, 微生物を含む試料の感染価を定量していることからも明らかです。従ってこの質問は, ガフキー号数にどの程度の定量性があるのかという点に帰着します。私の個人的意見としては, もうガフキー号数は不要と考えていますが, しかしガフキー号数に代わり, 感染の危険性をおおまかにでも表現できる指標がありません。事実, 公衆衛生の領域 (保健所) では〔ガフキー号数〕×〔排菌の期間〕を周りへ感染を拡げる危険度 (集団発生) を評価する指標として用いています。結論として, やはりガフキー号数が大きい場合には感染の危険度が高いこと, さらにガフキー号数が小さいからといって安心しないこと・・・特に抗結核剤を投与すればガフキー号数は小さくなるのですが, 喀痰のなかに含まれる結核菌は抗結核剤に耐性の結核菌ですから。

(琉球大学・山根 誠久)
 
【質問者からのお礼】
 非常に初心者的で恥ずかしい質問でしたが, 丁寧なご返答ありがとうございました。危険度指数などもありますが, 量的なことも考慮しながらも油断しない, 感染の危険は常にあるという考えで臨んだほうがいいということですよね。忙しい中をお答えいただき, 本当にありがとうございました。

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