06/09/14
■ 結核病院での感染予防
【質問】
 当院は個人病院で, 結核病棟 (現患者数2名でガフキー1号と3号, PCR陽性) と一般病棟の患者数名を受け持ちます。結核病棟へはラウンド回数を制限していましたが, 患者様が抗菌薬の副作用で体動困難となってしまいました。当然, ラウンドの回数も多くなり, 患者様と接触する時間も増えました。当院では看護者がサージカルマスクを着用する以外は何もしていません。退出時に自分自身にエタノール散布は行うのですが, 予防衣を変えたりしなければならないですよね??? 一般病棟は重症者もいますし, 高齢者で免疫の低い方しかいません。これまでの数十年間, 院内感染はありませんでしたが, 病院を新しくした割には予防がなっていないと思うのです。院長は“結核病棟で遊んでいた”とのことで, 回診する際は一切予防をしません。この状態を続けてよいものかと心配なので, 質問させていただきました。よろしくお願いいたします。

【回答】
 結核病棟があり, 開放性結核の患者さんも収容されている。結核病棟へのラウンド回数が増えた。このため, 患者さんと接触する機会が多くなったが, 予防衣の着用はしていなし, 予防対策が不十分と考える。困ったことに, 院長自らが十分な予防を行っていない。どうしたら良いか。院内感染対策を行うメンバーとしての悩みが文面から伝わってきます。

 今後, あなたの病院で院内感染対策を行っていくうえで, 最も中心的な役割をするのは病院長です。病院における最高責任者は院長であり, もし院内で集団感染が生じた場合には自分にその責任が生じてきます。集団感染は社会的にも問題になり, マスコミの対応に苦慮し, 場合によっては患者の減少により経営難に陥ることにもなります。ここでは, 病院長の院内感染対策への理解をとりつけ, 自ら最高指揮官としての職務をしっかり務めて戴くことが最も必要と考えます。企業でもトップリーダーは先頭にたち行動しています。

 貴病院は結核患者を収容する病院であり, とりわけ厳重な感染対策が必要です。結核の感染予防対策マニュアルを作り, これに遵守した予防対策を忠実に行うことが危機管理からも急務と考えます。

(近畿大学・古田 格)


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