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【質問】
結核菌の“シードスワブ検体”の前処理方法についてお聞きしたいことがあります。現在,
当社ではシードスワブに喀痰をしみこませてある検体の依頼があった場合, 緩衝液でシードスワブを洗い,
その液体を用いてNALC処理を行なっているのですが, この方法は正しいのでしょうか???
また, シードスワブを用いた場合, 感度の問題で参考値としているのですが, 実際シードスワブを用いたら感度はどのくらい落ちるものなのでしょうか???
よろしくお願いします。
【回答】
端的に言えば“間違い”です。全米微生物学会
(ASM) のマニュアルでも, シードスワブで提出された喀痰検体はrejection (検査受け取り拒否)
の対象に該当します。正しく感度が問題となるからです。結核菌検査では, 喀痰検体をNALC-NaOH処理した後,
遠心してその“沈渣”を検査 (培養, 遺伝子増幅) します。ということは, 感度は検査方法のみならず,
提出される検体の“量”にも依存していることを意味します。検体の量が多い程,
感度が高いという意味です。例え, シードスワブ検体でPCRをして, 結果は「陰性」だったとしても,
“結核を否定できない”ことになります。となると, なんのための検査と言いたくなります。
それと“NALC”は喀痰を融解するのが目的です。シードスワブに微量に染み込んだ喀痰をわざわざNALCで融解しなくても,
恐らくNaOHのみで雑菌処理は済むと想像します。
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
結核菌のシードスワブについて質問したものです。今回の先生のご返答を元に検査の見直しを図っていこうと思います。お忙しい中,
本当にありがとうございました。
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