04/12/02
■ 献血したら・・・
【質問】
 先日, 献血をしました。検査結果が届き, そこにはHBs抗原 (陰性), HBc抗体 (陽性), HBV−DNA検査結果 (陰性) と書かれていました。詳しく教えていただきたいのですが・・・

【回答】
 B型肝炎は, B型肝炎ウイルス (HBV) に感染している献血者の血液を輸血された患者,不特定多数の人々の血液に接する機会が多い医療従事者などが感染しやすい病気です。また,性行為での感染や出産時の母子感染などで感染する場合もあります。HBVに感染しますと, 約2〜6週間後に血液中に“HBV-DNA (B型肝炎ウイルスの遺伝子)” が陽性になり,さらにその約1週間後に“HBs抗原”が陽性になります。さらに数週間経過すると“HBc抗体”が陽性になります。自然治癒していくと, まず“HBs抗原”が消失し, 逆に“HBs抗体”が陽性となり,感染から回復した状態になります。すなわち,“HBs抗原とHBV-DNA検査がいずれも陰性で, HBs抗体が陽性”の状態であれば,過去にB型肝炎ウイルスに感染はしたが,現在ではウイルスが体内にはなく,治癒している状態にあるとみなされます。HBs抗体はHBVの感染を守る私達の味方です (sc, 抗原と抗体を混乱しないでください)。

 質問の内容からは, HBs抗体検査の結果について記載されていませんので, 過去の感染で, 現在は治癒していると必ずしも断言できませんが,HBs抗原とHBV-DNAの検査がいずれも陰性,HBc抗体の検査結果が陽性ですので,少なくともB型肝炎ウイルスの活動期ではなく,肝炎を発症する可能性は極めて低いと考えます。今回のように, 献血時の検査でHBc抗体が陽性であると確認された場合には,HBs抗体の有無についても検査を行います。もし, HBs抗体が陽性であれば,献血した血液を輸血してもHBV感染の危険性はないと判断され,貴方の献血した血液は輸血用の血液製剤として有効に利用されます。

(琉球大学・屋嘉比 静子)


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