05/07/06
05/07/12
■ 嫌気性細菌取り扱いの安全対策
【質問】
 いつも勉強させていただいています。私は大学で研究補助をしていますが, 昨年末からClostridium属細菌を中心とする嫌気性細菌の探索チームに所属をしています。Clostridium属といえば, その一部は病原性を持っており, また嫌気条件化でのスクリーニングは, ヒトへの感染性をもつバクテリアを拾ってしまう可能性があるのではないかと心配しています。

(1) 安全対策としてどのようなことをしたらよいのでしょうか???
(2) 実験室の装備レベルや基準など参考にできる文献, 情報源を教えてください。

 現状は以下の通りですが, 特に指導的立場の人からの指示 (基準制定・警告) はありません。

・実験室にはオートクレーブ, 安全キャビネット, 嫌気チャンバーあり
・実験者は白衣着用がまちまち。室内履きはなし
・実験中のディスポグローブの着用は基準なし
・破傷風の予防注射 (任意で各自の判断任せ)

よろしくお願いします。

【回答】
 研究対象がClostridium属の細菌ということですね。確かに, Clostridium属にはいくつかの医学的にきわめて重要な毒素産生性の細菌種が存在します。あなたの働く大学研究室にはオートクレーブ, 安全キャビネットがあるということですね。医学的に重要な, 特殊な毒素を産生するClostridium属を対象にしての研究ではないようですね。それなら, 無菌操作を修得しており, 微生物を扱う場合の基本的事項を遵守していれば, 特に問題はないでしょう。

 さて, どのような業務内容なのか詳しいところはわかりませんが, 嫌気性細菌の探索ということですので, 具体的には以下の点に注意して下さい。

 室内では清潔な白衣を着用し, 履物も専用にしたほうがいいでしょう。室内での飲食は厳禁です。実験中, 手指でむやみに顔面, 特に口などに触れないことが大事です。手洗いの励行をお願いします。微生物を含む試験管などは破損しないように注意して扱ってください。特に, 微生物の培養液で汚染した手を口にもっていかないこと, 傷のある手指で微生物を含む試験管を取り扱わないことに注意して下さい。エアロゾルの発生するような実験を行う場合には, 吸引しないように注意が必要でしょう。当然ながら, 廃棄前にはClostridiumを培養した試験管, シャーレ類のオートクレーブ滅菌を確実に行って下さい。

 研究室には, 微生物の実習書が1冊や2冊置いてあるのが普通です。指導者に聞いて, 熟読されることをお勧めします。

(岐阜大学・渡邉 邦友)
 
【質問者からのお礼】
 嫌気性細菌群 (特にClostridium属) を取り扱う際の注意点など詳しく教えてくださりありがとうございました。当研究室は嫌気性細菌 (病原微生物を含む) を扱ったことのある方がおらず, 実験後の器具や試料の扱い方などは個々のやり方でやっているというのが現状でした。しかし, これからはご指導いただいた点に注意してやっていきたいと思います。

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