06/12/06
■ 検査のための採血管
【質問】
 はじめまして。採血の時の採取順はありますか??? 生化, 血液, 免疫, 凝固, 血糖・・・なぜ, 血液と凝固は量 (採取量) が決まっているのですか??? スピッツの中に, なにがはいっているのですか???

【回答】
「生化」, 「免疫」と書かれた採血管では, 検査に用いる検体の種類は, “血清 (serum)” です。全血から血清を分離するためには, 遠心する前に一度血液を凝固させます。普通のヒトの血液は室温で放置しておいても凝固する筈です。

他方, 「血液」と書かれた採血管では, 血液のなかの赤血球, 白血球などの細胞成分をバラバラの状態で検査するため, 凝固させない工夫が必要です。そのため, 採血管のなかに抗凝固剤が入れられています。また,「凝固」と書かれた採血管でも, 全血を凝固させないで遠心した時に得られる“血漿 (plasma)”を検査に用いるため, この採血管にも凝固しないように予め抗凝固剤が入っています。抗凝固剤の効果は, 血液と接触した時の濃度に影響されます。予め採血管に入れられた一定量の抗凝固剤に, いろいろな量の血液を加えると抗凝固剤の濃度が一定にならないため, 検査に大きく影響します。

 その他, 室温で放置しておくと測定値が見る間に変化していく成分もあります (血糖など)。そのような検査では, 測定値が採血直後から変化しないように特定の化学物質が採血管に入れられています。

 採血管の“ゴム栓の色”に注意してください。その色が, 採血管に予め添加してある化学物質の種類を示しています(約20年前, 私がアメリカの製造元に提案したアイディアです)。具体的な化学物質の名称は貴方の施設で使用している採血管の製造元に確認してください。

 採血の順 (採血管に入れる順番と理解しますが) ですが, 一般に血清を採取する「生化」, 「免疫」は後, それ以外の特定の化学物質を入れた採血管が先 (急ぐ) と理解してください。

(琉球大学・山根 誠久)


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