|
【質問】
いつも参考にさせて頂いております。検査方法 (使用培地・培養温度) の違いによる検査結果の評価についてご質問させて頂きます。
(1) 生菌数について
食品衛生法の成分規格 (冷凍食品) では, 標準寒天培地を使用し, 35±1℃,
24±2時間培養して発育したコロニーより算定しますが, ISO法では培養温度を30℃で実施すると聞きました。会社では,
35℃で培養した場合をもとに基準を作成しておりますが, 30℃で培養した結果をどのように評価すべきでしょうか。または,
この結果を評価する際に参考となる文献がある場合はご紹介頂けると助かります。
(2) 大腸菌群について
日本では, 大腸菌群の検査にデソキシコーレイト培地を使用するのが一般的ですが,
FDAあるいはISOなどの検査方法では,
LST培地を使用してガス産生を判定し, さらにBGLB培地でガス産生を確認する方法があると聞きました
(海外では, この方法がよく用いられていると聞きます)。このLST, BGLBを使用した大腸菌群の判定と,
デソキシコーレイト寒天培地を用いた方法での大腸菌群判定では, 陽性と判定されるのに“誤差”はどのぐらいなのでしょうか
(LST・BGLBでの検査で陰性となり, デソキシコーレイト寒天培地での検査で陽性となるケースはあるのでしょうか)。宜しくお願い申し上げます。
【回答】
(1) 一般的に菌の発育温度の特性の違いにより, 低温細菌, 中温細菌, 高温細菌の三つに区別されます。日本では35℃で培養し,
中温細菌の生菌数を算定しています。ISOやIDFでは, 中温細菌と低温細菌の両者を同時に測定できる30℃を採用しています。30℃で培養した結果は,
低温細菌も含まれることを考慮して評価してください。以上, 回答者が記載した内容は,「現場で役立つ食品微生物Q&A,
小久保彌太郎編 (中央法規)」から引用しました。
(2) 「“誤差”はどのぐらい」という質問は非常に難しい問題です。質問者もご存知のように,
LST培地は液体培地で, デソキシコーレイト寒天培地は寒天培地です。調製した試料を培地で培養しますが,
液体培地の場合は直接接種することができ, 余分な熱が検体中の微生物に影響しません。しかし,
寒天培地は溶解した寒天と試料を混ぜ合わせますから, 多少なりとも試料中の微生物が熱の影響を受けます。また,
LST培地とデソキシコーレイト寒天培地に含まれる選択物質が違います。以上のことより,
LST培地, BGLB培地による菌数 (MPN値) は, デソキシコーレイト寒天培地による菌数より高くなると考えられます。
(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
ご丁寧な説明ありがとうございました。大変助かりました。また何か不明な点がある際にはご質問をさせて頂きたいと思いますので,
宜しくお願い致します。
|戻る|
|