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【質問】
初めて質問させていただきます。先日セミナーに参加したところ,「血液培養の菌検出率を高めるために,
血液培養は2セット (欧米では3セット) 異なった部位から採取」という講義があったのですが,
その採血の間隔を“15分あける”とのことでした。その15分の理由がわかりません。もし,
3セット採るとしたら, 合計45 分かかるということでしょうか???
【回答】
血液培養にあたって複数セット (複数回の皮膚穿刺) で採血する目的は,
ひとつに分離率 (菌検出率) を高めることですが, もうひとつ別の目的に“雑菌混入の有無を識別する”ことがあります。1回目の穿刺で皮膚からの雑菌混入があったとしても,
2回目の穿刺までの間隔をあけることで, その影響を排除することができます。つまり,
15分間という間隔は, 1回目の穿刺で血流に混入した雑菌が主に肝臓のクッパー細胞によって取り込まれ,
血流から完全に除去されるまでの時間ということです。特に分離菌の診断的意義の判断で問題となるのが,
Staphylococcus
epidermidisなどの皮膚常在菌が検出された場合で, 適切な間隔をあけた複数セットの血液培養から,
再現性をもって, すべて検出されたとなると, S. epidermidisによる菌
(敗) 血症の可能性が極めて高くなります。
ついでですが, 3セットの採血では45分ではなく30分の間隔になる筈です
(植え木算のルール)。
(琉球大学・山根 誠久)
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