■ 血液培養でグラム陰性桿菌 | |
【質問】
総合病院勤務の内科医です。感染症の診断治療にも携わるとともに院内感染対策・サーベイランスの勉強もさせていただいております。 血液培養からグラム陽性桿菌 (以下GPR) が時々検出されます。GPRは通常は環境に広く分布する細菌でヒトに病原性を発揮することは少ないと理解しています。また, 清潔操作で血液培養を採取すればコンタミネーションをおこす頻度も低いと思われるのですが, 当院ではGPRの検出率が高く, ある月では血液培養からの検出菌の第2位となったりします。GPRの同定は全例には行なっておりませんが, ある月に外注にて同定したところ, ほとんどがBacillus cereusでした。発熱患者の複数回の血液培養から検出され, 起炎菌と考えられる症例も散見されます。文献にも乏しく, 対応に苦慮しております。質問は: (1) 血液培養からBacillus cereusが多く検出されてしまうのには (コンタミも含め) どのような原因が考えられますでしょうか。 (2) Bacillus cereusがヒトに感染症を起こすとした場合には, どのような疾患が考えられるのでしょうか。 (3) 当院の血液培養の採取は, 看護師が行なう場合には業務上の取り決めで「アルコール消毒を2回行なって採血」となっています。イソジン消毒を行なわないことが原因の一端かもしれないと考えておりますが, Bacillus属は一般にはイソジンにも耐性のため関係がないとも聞きます。採取法にも問題があるのでしょうか。 長文失礼いたしました。ご意見のほど, よろしくお願いいたします。 【回答】
B. cereusがやっかいなのは,本菌が自然環境菌であり,芽胞を形成することで,各種の検査材料から検出されるのは多くは芽胞の混入によるものです。汚染された環境下では室内にも芽胞として存在し,塵挨として飛散します。また,日常使用する器具やリネン類が芽胞で汚染されることも報告され,ICUでのoutbreakが知られています。 (2) Bacillus cereusによるヒトへの感染
外傷後の眼内炎肺炎, 心内膜炎 (薬物乱用者), 菌血症や敗血症(カテーテル汚染), 軟部組織や筋肉感染, 脊椎炎, 髄膜炎, 日和見感染者 (消耗性基礎疾患,免疫抑制剤使用,外傷,AIDSなど)での感染が多い。 (3) 血液採取での問題は:
(近畿大学・古田 格)
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