06/09/14
06/09/25
■ 気管支洗浄液の抗酸菌染色陽性
【質問】
 はじめまして。いつも参考にさせていただいています。総合病院で細菌検査を担当しているものです。

 気管支洗浄液の抗酸菌染色 (チールカルボールフクシン) で“偽陽性”が散見するように思われます。同検体でのPCR,小川・工藤培地による培養は陰性です。陽性を示す形状も短桿菌状・点状他, 不定形です。染色液や染色操作によるアーチファクトなのか, またはMycobacterium 属以外の抗酸性を示す菌なのでしょうか。よろしくご教示お願いいたします。

【回答】
 まず, 塗抹標本の抗酸染色鏡検成績の表現ですが,“偽陽性”の意味がわかりません。抗酸性に染色されている菌体を確認できたら“陽性”であり, 認めない場合は“陰性”と判定します。赤色が確認しにくい場合や菌体形状が不明瞭な場合には,“偽陽性”とは表現せず,“判定保留”とし, 同じ検体を異なる染色法を併用して再検査すると同時に, 新たに複数日採取検体について精査判断することを薦めます。また, 培養で発育してこない場合は, 死菌や抗酸性に染色される他の菌種が推定できます。さらにPCRで“陰性”とのことですが, 対象プローブを何種類利用したかが不明であり, 結核のみであれば他の抗酸菌の可能性もあります。

 ご質問の現象が気管支洗浄液に限ったことであれば, 採取時の使用器具類全部を調査してはいかがでしょうか。某施設では気管支内視鏡の先端ブラシから抗酸性菌を検出しております。また, スライドグラス, 染色液, 顕微鏡対物レンズなど, 一連の使用する機材, 器具も一度チェックしてみてください。

(大手前病院・山中 喜代治)


【質問者からのお礼】
 ご多忙の中, ご回答頂きましてありがとうございました。因果関係等, 調査を実施せずに, ふと感じたことを質問してしまいましたこと, 失礼いたしました。ご回答を参考にさせていただき原因究明していきます。


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