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【質問】
お忙しいところ申し訳ありません。岐阜の○×病院という総合病院 (330床)
に勤務しております4年目の臨床検査技師です。今年4月より社会人を続けながら大学院にも通っている身です。せっかくの社会人を続けながらの大学院生活ということで,
修士研究では自施設で分離された菌株を用いてPFGE法による疫学調査を行ないたいということになりました。そこで菌株を譲渡する手続きを始めたのですが,
倫理委員会にて「全患者の承諾書, さらに医師の承諾書が必要」ということになり,
事実上不可能という事態になってしまいました。厚生労働省の指針を見てみると,「個人識別連結不可能なものに関しては,
指針を対象としない」とされているのですが, 委員会の見解は「連結不可能ということは,
研究当事者 (つまり私です) も情報を把握してはならない」というものでした。これでは疫学調査は不可能です。やはり「全患者の承諾書,
医師の承諾書が必要」という決定は妥当なのでしょうか。病院から大学に行かせて頂いている以上,
病院へ還元できるような研究をしていきたいと考えています。お忙しい中恐縮ですが,
宜しくお願いいたします。
【回答】
大変, 難しい問題です。率直に言って, 菌株の譲渡に「全患者の承諾書,
医師の承諾書が必要」という委員会の見解は, 個人情報保護という範囲から大きく逸脱して,
非現実的なものと考えます。菌株の由来する患者属性を慎重に保護すれば充分であり,
徒に厳しい制限を設けるのは将来に渡って大きな禍根を残すと思われます・・・ただ,
貴君の直面している問題は, 法律の解釈という正誤の問題ではないのです。問題は,
ひとつの独立した法人・組織である“病院のポリシー”という点です。病院を一人の個人とみなしてください。周りからどんなに非常識,
変わり者といわれようと, 一人の個人の尊厳と自己決定は尊重されなければなりません。病院の委員会の決定もそれに類するものだと考えられます。貴君ができるのは,
委員会を説得して病院のポリシー, 自己決定した内容を変えていくことでしょう。その意味では病院の内部問題だと考えます。個人情報保護については現場が極めて混乱していることは事実です。病院内部で患者の氏名を呼んだら犯罪???
時間をかければ, 自然と落ち着くべきところに落ち着くと思います。科学研究のもつ公益性がその突破口になるのではと考えますが・・・この質問と回答については,
皆さんからの意見を広く求めたいと思います[nobie@med.u-ryukyu.ac.jp]
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