04/08/25
■ 菌株の植え継ぎ
【質問】
 環境由来で検出された細菌の“植え継ぎ”についてお尋ねしたいことがあります。アドバイス, よろしくお願い致します。

 検出された細菌を培養後, 検出された寒天平板培地のまま冷蔵庫に入れて保管していました。保管したまま約3ヶ月後, この菌を他の寒天平板培地に植え継ぎしましたが, うまく生えてきませんでした。この細菌は既に死菌になっているのでしょうか??? 検出された細菌は3種類程度が1枚のシャーレに検出されています。また検出数は数十個程度です。植え継ぎ用の培地は, 検出された培地と同じ寒天平板培地を使用しました。菌の種類で, 保管期間など著しく変化するものなのでしょうか??? 植え継ぎを行う上での必須の条件などありましたら教えて下さい

【回答】
 質問にあります条件では, 寒天平板培地が乾燥してしまって細菌は死滅している可能性が大です。継代培養保存法で使用する培地は, 固形培地としてハートインヒュージョン寒天培地, チョコレート寒天培地, ドルセットの卵培地などを斜面培地とします。継代の間隔は培地と菌種により異なりますが, 3ヶ月ごとが一般的です。半流動培地としてはカジトン培地であり, 必要に応じてエンリッチメントや血液を加えたり, 食塩濃度を増加します。栄養要求の厳しい菌種にはCTA培地, 嫌気性菌にはGAM半流動培地で3〜4週間ごとに継代培養します。液体培地はクックドミート培地が使用され, 保存期間は1ヶ月〜数年です。一般に冷蔵 (5℃前後) に保存しますが, 微生物によっては室温ないし37℃で保存するほうがよいものもあります。例えば, コレラ菌, 淋菌, 髄膜炎菌, 腸炎ビブリオ, 嫌気性菌, レプトスピラ, 真菌などは室温で保存することが多いものです。継代保存用培地からの菌株の復元は, 適当なブイヨンで一旦増菌培養した後, 平板培地に移植し, 独立集落が得られたなら, 新しい保存培地へ継代培養して保存します。保存中や継代培養操作時には, 特に雑菌汚染を起こさないように注意する必要があります。

[参考文献]

根井外喜男編: 微生物の保存法. 東京大学出版会, 東京, 1977.

(愛媛大学・村瀬 光春)

【質問者からのお礼】

 回答ありがとうございました。植え継ぎについては, 期間を空けずに植え継ぎを行っていきたいと思います。


[戻る]