■ 抗酸菌検査の結果解釈について | |
【質問】
一件質問があります。私の病院では細菌検査を外注にだしています。そのなかでも抗酸菌の結果の解釈についての質問です。 以前 (今年の1月31日) の結果は, 蛍光染色でG2号, MGIT培養 (+)で, DDHでM. intracellulareと判定されました。今回 (9月) に塗沫と培養とPCRを提出したところ, 蛍光染色G2号, MGIT培養 (+)で, 結核菌PCR(−), MAC(−)と結果が返ってきました。今現在も治療中です。これはDDHとPCRの検査の感度の違いと考えていいものなのか, もしくは, 別の抗酸菌なのかと思いメールしました。一応, 違う菌なのかもと思い, DDHを追加し検査しています。。結果は12月の初旬になるみたいです。専門の先生方の意見を聞きたいと思っています。(その後, 12月1日にDDHの結果が返ってきました。その結果はM. intracellulareでした)。 【回答】
MGITで陽性となった後, 液体培地からなんとかして抗酸菌DNAを抽出し, DDHで同定を試みた。1回目は上手く行ったが, 2回目は上手く行かなかったので, しょうがなくPCRを行ったという話ではないかなと想像しています。もしそうだとしても, 大きな疑問があります。12月1日にはDDHでM. intracellulareと同定されているにも拘わらず, MACのPCRが陰性なのですから。 DDHで同定する場合, MGITで陽性となったら, MGITの液体培地を固形培地 (卵培地) に移し, 培養して菌集落を作らせ, この菌集落を検体としてDNAを抽出し, DDHにかけるのが最も信頼できる方法です。12月1日の検査結果はこの方法を採ったのでしょう。 9月のPCR検査で結核菌もMACも陰性であったというのは, 正直なところ, その施設での精度管理は大丈夫かなと疑わせます。最小検出限界は, 遺伝子増幅のない, 単なるハイブリダイゼーションであるDDHと比べ, もちろんPCRが優れているのですから。 もう一度, 外注に出している検査所の検査内容と精度管理の方法のきちんとした説明を受けることを強く勧めます。実際の精度管理の成績を確認することです。 (琉球大学・山根 誠久) |