05/03/17
■ 抗酸菌染色の精度管理
【質問】
 検査センターに勤務しているものです。たいへん有益な情報をありがとうございます。参考にさせていただいてております。

質問なのですが, 抗酸菌染色の精度管理用スライドを作る際に抗酸菌を非動化させたいのですが, 固定液は何が適当なのでしょうか??? なにぶん手探りでやっているものですから・・・これ以外で, 何か抗酸菌塗抹の精度管理についてご指導をいただければありがたく思います。よろしくお願いします。

【回答】
 塗抹標本の固定操作では, 火炎と薬液 (一般的にはアルコール) が利用されており, どちらも殺菌効果がありますので非動化としてはこの固定操作でよいことになります。ただし, 濃厚菌の場合や蛋白などの影響で充分殺菌されない場合もあり, さらに過度の加熱で細菌細胞が変性することもありますので注意が必要です。精度管理のための抗酸菌は, 結核菌よりも病原性の低い他の抗酸菌を選ぶ方がよいと思います(全米微生物学会, ASMは, 陽性菌にMycobacterium tuberculosis H37Ra ATCC 25177, 陰性菌にNocardia asteroides ATCC 3308を推奨し, これがない場合の代わりとしてE. coliM. kansasiiを使用してもよいとしています。しかし迅速発育菌は染色性が不安定で, 使用しない)。また, 検査材料の検査を含め, 塗抹には水素化ケイ素重合物を含む“シランコートスライドグラス”が有用です。米国Microbiologics社では, グラム染色や抗酸染色などの精度管理用として各種微生物を塗抹した標本 (Clinical PT Samples) を販売していますのでこれを利用することもできます。ちなみに抗酸染色用としては「Mycobacterium gordonaeを塗抹, 風乾し, アルコール固定」と表示されています。国内での取り扱いを以下に紹介しますのでお問い合わせください。

有限会社テクノアメニティ (TEL 075-957-3621)
〒617-0828 京都府長岡京市馬場見場走り26-3-319

(大手前病院・山中 喜代治)


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