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【質問】
はじめまして。大学でバイオフィルムの研究をしている者です。現在キャピラリーフローセルを使ってバイオフィルムの形成過程を観察しています。供試菌は,
P.
putidaを用いてキャピラリー内を循環させています。循環液はLB液体培地です。また,
循環液はエアレーションしています。
質問なのですが, 4日ほどしたら循環液が濃い緑色に変色していました。エアレーションを止め,
放置しているとまた通常の茶色になります。オートクレーブ処理 (120℃, 15分間)
後でも, エアレーションすると緑色に変色します。この変色現象についてご教授ください。よろしくお願いいたします。
【回答】
LB培地 (乳糖ブイヨン培地) には乳糖およびpH指示薬としてBTB (ブロモチモールブルー)
が処方されており, 滅菌調製した培地は黄緑色を呈し, 菌が発育することにより黄色
(乳糖分解) あるいは黄色から青緑色, 強い青色 (乳糖非分解) へと変化します。乳糖ブイヨン培地をエアレーションした経験がないため,
培地自体がエアレーションにより変色するかどうか, はっきりわかりません。しかしオートクレーブ直後であれば,
酸素が抜けている状態から酸素が溶け込むことにより, あるいは混和あるいは流水による冷却により,
培地は薄い黄緑色から黄緑色_緑色に戻ります。温度および酸化還元電位が影響していると考えられます。またP.
putidaを培養している場合では, 本菌は乳糖非分解で栄養成分により培地pHはアルカリ化すると考えられ,
さらに黄緑色の蛍光色素を産生するため, エアレーションの有無にかかわらず,
蛍光を含む緑色_青色を呈すると推測されます。
培地が調製後の通常状態で茶色という経験はありませんが, 可能性として考えられるのは,
培地調製時に器具の壁面に粉末が付着したまま滅菌され培地が焦げた状態になるなど,
調製時の影響が考えられますので培地調製についてもご確認ください。
(日水製薬 三品正俊)
【質問者からのお礼】
ご回答, 誠にありがとうございました。
追記ですが, 使用していたLB培地ですが, 組成を下記に示すように, BTBは加えていません。1%
トリプトン, 0.5% 乾燥酵母エキス, 1% NaCl (pH 7)。またエアレーションしていたこともあり,
変色前後の溶存酸素濃度を測定した結果では, 変色前4.01〜4.32 mg/lに対し,
変色後では0.1〜0.3 mg/lとなりました。
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