06/08/08
■ 滅菌スピッツとシリコン栓
【質問】
 穿刺液用の滅菌スピッツについてお尋ねします。15 mlのガラスの遠沈管にシリコン栓をし, 1本ずつ密封してオートクレーブにかけています。小児のリコールにて, 血液培地に黄色ブドウ球菌が1コロニー生えてきて, GAM半流動培地でも混濁が見られました。臨床症状からコンタミネーションであろうと言うことになったのですが, 担当医師から, “穿刺の消毒手技的には問題がなかったようなので, 滅菌スピッツ (特にシリコン栓) は大丈夫か???”と問われました。リコールを細菌培養用に遠心する時, シリコン栓は外して遠心しています。また, 検体量が少ない時は, 一般検査と同一検体で沈渣にて検査します。シリコン栓を取ったりはめたりする時に, 菌が混入してしまった可能性は否定できません。

(1) 予測できる原因についてご意見をお願いします。
(2) 他施設はどのようにされているのか教えていただけませんか???
(3) ディスポの滅菌スピッツで何か良い容器ご存知ないですか???
(4) また, シリコン栓の洗浄も揉んでも揉んでも洗剤の泡が出て, 綺麗に洗浄出来たのか否か分かりません。良い洗い方ありますか???
(5) オートクレーブしているのに, 滅菌できていない可能性がありますか???

【回答】
(1) 予測できる原因についてご意見をお願いします。
 汚染の原因はシリコン栓を外して遠心している (遠心中に破損したり, 遠心器の内部が汚染されています。また外したシリコン栓の置いた状態はどうでしたか。遠心後にシリコン栓を再装着してないでしょうか), あるいはシリコン栓が水分を含んでいる状態にあったことが原因だと思います。細菌検査の材料は, 試験管の栓をした状態で遠心することです (この場合にはシリコン栓は不向きです)。汚染機会を減らす意味からも, 栓の開閉もできるだけ少ない回数に心がけます。

(2) 他施設はどのようにされているのか教えていただけませんか???
 市販の滅菌スピッツを採用している施設が多いと思います。シリコン栓の試験管は転倒時に材料がシリコン栓に吸水され, 汚染の機会が多く発生します。シリコン栓付き試験管は細菌検査室内での検査に用いるべきで, 輸送用容器としては不適当です。また, 他の部門と同一の材料を使用して検査する場合には細菌検査室を最優先します (最初に検査材料を取り扱う)。

(3) ディスポの滅菌スピッツで何か良い容器ご存知ないですか???
 理化学メーカーで多種類の滅菌スピッツ (試験管) が市販されています。自施設で採用可能なもの (価格, 操作性) を検討して下さい。

(4) また, シリコン栓の洗浄も揉んでも揉んでも洗剤の泡が出て, 綺麗に洗浄出来たのか否か分かりません。良い洗い方ありますか???
 シリコン栓の洗浄に洗剤は使用しないほうがよいです。使用済み栓は高圧滅菌した後, 水道水に漬けて軽く水洗します。ネット (洗濯用網) に入れて洗濯機の脱水器で脱水した後, 乾燥機で完全に乾燥させます。汚れのひどい場合にはハイター液に漬けた後, 同じ様に洗浄するとよいと思います。

(5) オートクレーブしているのに, 滅菌できていない可能性がありますか???
 オートクレーブが正常に作動していれば, 滅菌されています。オートクレーブ使用時に滅菌インジケータで確認してみて下さい。

(琉球大学・仲宗根 勇)


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