■ MIC法とデスク法について | |
【質問】
約200床の病院で細菌検査を担当しています。現在, 当検査室ではディスク法で薬剤感受性試験を実施していて, お金がかかるという理由でMIC法を導入させてもらえていません。ちなみに, 薬剤感受性用の培地も粉末を自分達で溶かして作っていて, 精度管理用の菌株も高いからということで買ってもらえない・・という状況です。先日, 2005年の統計を院内で報告したのですが, 他の病院との比較をして欲しいと院長に言われ困っています (例えば, 当院ではある菌に対してある薬剤は100%Sであるが, 他の施設では何%か??? という比較です)。そこで質問なのですが・・・ (1) 仮に他の施設のMIC法での情報が手に入った場合, ディスク法との比較は可能なのでしょうか???
勉強不足でお恥ずかしい質問ですが, よろしくお願い致します。 【回答】
(2) MIC法の詳細については成書を参考にして勉強してください。MIC法は2倍希釈系列に調製した試験薬剤を含む培地での終末点法 (end-point assay) あるいは限界希釈法 (terminal dilution assay) が原理であり, ディスク法は寒天培地に作成された試験薬剤の濃度勾配条件での菌発育阻止を原理にしています。両者の試験方法から得られる結果には当然, 高い相関があります。 (3) MIC法とディスク法にはそれぞれ一長一短があります。MIC法は定量値として菌株の試験薬剤に対する感(受)性度が表現されますので, もしそれを読む医師が抗菌薬の薬物動態を充分に理解していれば, いろいろ有用で応用可能な情報を与えます。また論文を作成したり, 学会に発表したりする時にはMIC法での成績が“かっこいい”という雰囲気もあります。ただ, 最近ではディスク法の価値も見直され, 様々な耐性菌の検出にはディスク法の方が有用, 有効である場合も多々あります。 (琉球大学・山根 誠久)
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