06/07/14
■ ミスラー法とは???
【質問】
 先日, 培地の検討をしたところ「ミスラー法」という言葉を始めて聞きました。どういう方法なのか, どんな時に用いるのか教えて下さい。よろしくお願いします。

【回答】
 「ミスラー法」は, MilesとMisraが1938年に血液の殺菌作用の研究に用いた方法で, 一般に「ミスラ法」として知られています。その方法が簡単なため, 培地の比較試験をはじめ多くの研究に利用されています。以下に方法の概要を示しますが, 詳細は下記の出典を参照ください。

(試験の準備)
・ピペット: 1滴の容量が同じ精度をもつ, 通常 1 mlピペット (原法では0.02 ml のパスツールピペットを使用)

・希釈液: 1000 ml中に, 寒天 1 gram, チオグリコール酸 0.3 ml, リン酸一水素ナトリウム 6 gram, リン酸二水素カリウム 4.5 gram, pH 6.6からなる溶液 (原法)。予め秤量し, 加熱して寒天を溶解した後, 一定量ずつ試験管に分注し, 栓をして高圧蒸気滅菌 (オートクレーブ) しておきます。私の施設では0.1% ペプトン, 0.1%寒天含有生理食塩水を使用しています (菌の増殖を防ぐため, 操作は素早くする必要があります)。

・培地: 比較実験する培地は常法に従って作製し, 孵卵器の中で蓋を取って逆さにして30分_1時間乾燥させておきます。

(試験の方法)
・ブイヨンでの前培養菌液あるいは平板から滅菌生理食塩水に菌体を懸濁したものを原液とし, 希釈液で希釈して10倍希釈系列を作製します。

・培地の裏にマジック・インクなどで等分し, 培地を上向きにします (図では7等分しています)。

・希釈液の菌濃度の濃い方から1滴ずつ, 培地の等分した1区画に滴下していきます。10^-1は10倍希釈液, 10^-7は10の7乗希釈液を示します。

・そのまま30分間程度放置し, 滴下した菌液が培地に吸収されたら蓋をして培養します。

・検出微生物に適した温度, 時間で培養した後, 各希釈菌液を滴下した分画の菌数を計数し, 同一希釈における発育コロニー数を比較して培地間の発育性を比較します。
 

(培地A) 

(培地B)

〔参考文献 204頁, 図47を引用〕
〔参考文献〕
新 細菌培地学講座・上 坂崎利一著, 近代出版, 1978
(日水製薬・三品 正俊)

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