05/07/12
■ MRSAの選択薬剤
【質問】
 一件, MRSAの選択薬について質問があります。当病院では, MRSAが検出された場合の第一選択薬は基本的に決めていない状態です。基本的にはVCMが妥当だと思うのですが, ドクターの方がVCMの耐性を気にしており, ABKではどうかという意見がでている状態です。今後は当病院で第一選択薬をABK単独でということなのですが・・・それで問題ないのでしょうか???

他の手として併用療法もありえるのかと思い, また併用療法があるとしたらどの薬剤が妥当なのかわかれば教えて欲しいと思いメールしました。実際のMRSAの選択薬は各病院によって違うものなのでしょうか???

【回答】
 現在, MRSAに関してはバンコマイシンが第一選択薬であり, まだわが国においては耐性菌は見られておりません。これまでに開発されてきた抗菌薬と異なり, 耐性化が進んでいないようです。しかし, 節度のある目的にかなった使用をする必要があります。おそらく, どの病院もバンコマイシンを第一選択薬としているでしょう。バンコマイシンに続く抗MRSA薬としてはテイコプラニンやアルベカシンなどがありますが, アルベカシンには耐性を示す株がわずかに認められます(3%以下, 2003年)。なお, バンコマイシンやテイコプラニンなどは100%感受性という成績が得られています(2003年)。やはり第一選択薬はABKではなく, VCM単独とするのがよろしいでしょう。

 よく併用療法も話題になっておりますが, 科学的な立証が十分には得られていない状態です。いずれにしても併用療法を考慮するのは複数菌感染を伴う事例に限定するのがよいでしょう。

(近畿大学・古田 格)


[戻る]