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【質問】
●●検査センターで細菌担当をしてます■■と申します。
先日, 抗酸菌M. marinumと思われる菌が4週培養で小川培地に発育を認めました。37℃培養で陰性,
28℃培養で陽性の結果でした。生化学的性状の同定検査と感受性検査が追加オーダーされました。M.
marinumは継代培養した場合には37℃にも生育するらしいですが, 同定・感受性検査は何度で培養するべきでしょうか???
【回答】
菌発育に依存する試験 (菌発育の有無で試験結果を判定するもの) は, 薬剤感受性試験を含め,
すべて30℃で実施します。しかし菌発育の有無に依存しない試験, 例えば遺伝子のハイブリダイゼーション検査や抗原・抗体反応などは試験方法で規定された反応温度で試験します。
(琉球大学・山根 誠久)
【追加質問】
お忙しい中, 回答頂き有難う御座いました。30℃培養は抗酸菌・一般細菌共に同じ解釈でよろしいですか???
【回答】
質問の意味が正確には理解できません。35あるいは37℃を至適温度としない菌種での培養あるいは反応温度についての追加質問だと理解し,
一般論として回答します。
薬剤感受性試験の場合には, その菌種, 菌株にとって最適の培養温度 (培養条件)
で試験します。この場合の“最適”とは最も速く発育できる条件を意味します。
同定試験の場合には, 話が少し複雑になります。菌体に含まれる酵素活性を利用した同定試験の場合には,
その酵素の至適温度で反応させるべきでしょう。しかし, 同定キットに付随しているデータ・ベース
(各菌種の反応陽性率表) がどのような条件で作成されたのか確認する必要があります。その菌種での至適温度ではない条件で作成されている場合には,
データ・ベースを作成した時に使用した反応温度を採用する必要があります。
遺伝子を用いた同定試験 (ハイブリダイゼーションやPCR) では, 遺伝子そのものは生物活性をもたないと見なされますので,
それぞれの化学反応で規定された反応温度を採用することになります。
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
有難う御座いました。
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