06/11/22
■ 日局の保存効力試験について
【質問】
 初めまして。日頃, 私は化粧品の防腐力を確認・検討しています。この「質問箱」を拝見し, 以前から疑問に思っていたことを思い切って質問させていただくことにしました。よろしくお願いします。

(1) 日局の「保存効力試験法」の製剤区分別判定基準ですが, 何故あのようになっているのでしょう。汚染されたときのリスク面から見た規格の設定だろうと思っていますが, いかがでしょうか??? また, 指でとる, お風呂場に置くなどされる化粧品の保存効力を考える場合には, 日局の製剤区分別判定基準でいいのでしょうか???

(2) 何故, 日局の「保存効力試験法」は“参考情報”なのでしょう??? 正規の試験法に組み込まれない理由があれば教えて下さい。

化粧品製造メーカー勤務の■■といいます。よろしくお願いします。

【回答】
(1) 「あのように」は何を示しているのかわかりません。推定で参考になる文章を記載します。「保存効力試験法は、多回投与容器中に充てんされた製剤自体又は製剤に添加された保存剤の効力を微生物学的に評価する方法である。製剤に試験の対象となる菌種を強制的に接種、混合し、経時的に試験菌の消長を追跡することにより、保存効力を評価する。なお、医薬品GMPに対応するために、又は単に生菌数を抑制する目的のためだけに、保存剤を使用してはならない。保存剤は、それ自体毒性のある物質でもある。それゆえ、ヒトへの安全性に影響を及ぼすような量を製剤に添加してはならず、保存剤の添加量を可能な限り少なくする配慮が必要である。本試験は、一般に製剤の処方設計段階や定期的な保存効力の検証などに適用され、ロットの出荷判定試験としては行なわないが、最終容器につめられた製剤中の保存剤の効果は、製剤の有効期間にわたって検証しなければならない。」(第十五改正日本薬局方解説書)。製剤区分別判定基準から考えますと, いずれも接種時の菌数から変動しないか減少することが合格基準であると読み取れます。化粧品の保存効力は, カテゴリーIIの判定基準に準じてよいと考えます。判定基準は, 剤型, または仕様形態によって, 微生物汚染や微生物による変質および感染の確率の高さに応じて区分すると記載されています。

(2)「日局収載医薬品の品質・安全性等の確保は、科学の進歩、経験の蓄積を反映してその時代における最も先端的な方法、考え方でなされることが望ましい。“参考情報”では、現時点における科学的考察の到達点を示すことを試みた。これにより、日局収載医薬品のみならず、生物薬品の品質・安全性確保が時代を反映したより科学的根拠に基づくものとなり、また、各条収載に関する効率的な審議の推進につながることが期待される。」と日局方に記載されています。この文章から読み取りますと, “参考情報”は最終的な試験法とすべきものではなく, 現時点で最良の方法であると理解できます。さらに, 将来もっと優れた方法が出てくれば, その方法を用いることも考慮していると考えられます。

 今回, 明確な回答が出来ていないため, 質問者には不満が残ると推察します。さらなる質問は, 厚生労働省へ直接問い合わせることをお勧めします。

(日水製薬・小高 秀正)

【質問者からのお礼】
 お忙しい中, 未熟な質問にお答えいただき, ありがとうございました。


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