05/04/28
■ 乳糖は分解するが, ガスを産生しない
【質問】
 こんにちは。私は食品工場で品質管理部を担当しており, 微生物検査の方を主に担当しております。細菌検査は基本的に私は実施しておりませんが, 管理の方を全般に行っておりまして, 時々, 検査・判定について疑問を抱く時があります。そのため, 悩んだ時はいつも「質問箱」を見て参考にさせて頂いております。この度, 初めて質問させて頂きたいことがありまして・・・

 デソキシコレート寒天培地とペトリフィルムECプレートで同じ検体の検査を実施した際に, デソキシコレート培地ではコロニーの形成がありましたが, ペトリフィルムではコロニーの形成はありますが, 気泡が確認出来ませんでした。従いまして, デソキシコレート培地から釣菌してEMB培地に平板塗抹したところ, 茶褐色のコロニーの形成があり, またLB培地に1白金線接種したところ, 色が黄変しましたが, ガスの発生は見られませんでした。以上より, 乳糖は分解するが, ガスを産生しない菌であると推測されますが, これらの菌の名称を教えて頂きたく, お忙しいところ, 誠に申し訳御座いませんが, 宜しくお願い致します。

【回答】
「デソキシコレート培地ではコロニーの形成がありました」とありますが定型的な赤色コロニーだったのでしょうか。また, どのような食品を検査した結果なのでしょうか。乳糖を分解し, ガスを産生しない菌に対して総括的な呼び方はありません。回答者の経験ですと, このような細菌はAeromonas, Kluyvera, Rahnella, Serratia, Yersiniaなどを推測して同定します。食品衛生上重要なのは, 特に最終製品で大腸菌群の汚染があるか否かであす。しかし, 食品によっては大腸菌群の規定がないものがあります。例えば, 弁当・そうざいの衛生規範では“大腸菌陰性”を指定していますが, “大腸菌群陰性”であることは指定していません。検査方法が正しく行われていて, 食品衛生法上特に規定がなければ, 質問者の製品は大腸菌群陰性で何の問題もないと思います。このような日常起こる問題を避けるために, 日常検査の記録や保管が大事です。いわゆる, トレーサビリティを可能にして, どの過程でこのような菌が混入するのかをつきとめ, 排除した後は, 全工程においてなるべく菌の汚染を少なくする手段を講じることをお勧めします。

(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
 ご回答, 誠にありがとうございました。今後も工程内の管理徹底に向けて取り組んでいく所存でありますので, 質問箱を拝見させて頂き, 参考にしたいと思っております。今後とも, 宜しくお願い申し上げます。

[戻る]