06/12/14
06/12/20
■ 乳酸菌の分別培地
【質問】
 いつもお世話になっております。食品や飼料の各種微生物試験を行っている者です。

 今回, 乳酸菌の同定を行うことになりました。L. lactis, L. cremoris, L. diacetylactisの混合液からそれぞれを同定しようとしています。そこで文献を検索したところ, これらの菌を分別できる寒天培地があることがわかりました。しかし, その培地の情報が古く, 直接, 文献自体を入手することができません。培地の組成を知っている方がいらしたら教えていただきたいと思っています。培地の出典は以下のとおりです:

(1) Reddy, M. S. et al.: Appl. Microbiol., 24, 947, 1972
(2) Kempler, G. M. and Mckay, L. L.: Appl. Environ. Microbiol., 39, 926, 1980

宜しくお願いします。

【回答】
 クエン酸塩発酵能の有無から乳酸菌 (lactic streptococci) を分離培養する培地として, 文献 (1) で報告された培地は:

 0.5% tryptone, 0.5% yeast extract, 0.25% Casamino Acids, 0.5% L-arginine-hydrochloride, 0.125% K2HPO4, 1% calcium citrate, 1.5% carboxy methyl cellulose (CMC, Cekol MV, Uddeholm, Sweden), 1.5% agar の組成とし, 平板に分注する直前に, 100 ml当り5.0 mlの無菌的なnonfat milk (11% solid), 10 mlの蒸留水で作成した無菌的な3% (w/v) CaCO3, 2.0 mlの蒸留水に無菌的に溶解した0.1% bromocresol purpleを添加し (予め溶解させ, 55℃に保っておく), 寒天溶液に均一に混和する。培地のpHは5.9±0.1とされています。

 なお, CMC, Cekol MVの代用として, DuPont CMC grade P-754を使用する場合には, その濃度を0.6%にする。

他方, 文献 (2) で報告された培地は:
 1.0% (w/v) nonfat milk (Matrix Mother Culture Medium, Galloway-West, Fond du Lac, Wis, U.S.A.), 0.25% milk protein-hydrolysate peptone (BBL Microbiology Systems, Cockeysville, Md, U.S.A.), 0.5% dextrose, 1.5% agarの組成とし, 滅菌前にpHを6.6に調整する。12分間の高圧滅菌の後, 45℃に保温しておく。10% potassium ferricyanide (溶液A) と40 mlの蒸留水に1 gramのferric citrate, 1 gramのsodium citrateを含む溶液Bを30分間, 100℃で加温し, それぞれの溶液10 mlを寒天溶液1 literに加える。ゆっくり撹拌して分注し, 24時間30℃, 遮光して乾燥させるとされています。

(琉球大学・山根 誠久)


【質問者からのお礼】
 いつもお世話になっております。質問に対する回答ありがとうございました。早速, 培地を作製して試してみたいと思います。本当にありがとうございました。


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