■ 大腸菌“O-1”への対応 | |
【質問】
はじめまして。他にも質問されている方がおられるので, 重複になったら申し訳ありません。 このところ, 3ヶ月ほど検便から“O1”が検出されています。今のところ, 体調に異常はないということで, 乳酸菌を積極的に摂取するということ以外は, 特に何もしていない状況です。薬の服用はしていません。食生活のバランスはとれていると思います。正直なところ, 症状がないことから, 安易に考えていましたが, 検出期間が長いこともあり, 不安になって来ました。病原性はないと思うのですが, 腸内細菌を正常に保つ為に出来ることや, 原因として考えられることがあれば, 教えてください。 【質問】
私は今年大学を卒業し, 管理栄養士の資格をとりました。そこで質問なのですが, “病原大腸菌O-1は普通の健常者の腸内常在菌としての含有率が高い菌である”と知りました。この菌を調理者が持っていると, 実際に食中毒は起こるものなのですか??? うちの病院では, 病原大腸菌のすべての血清型の一つでも「陽性」だとダメなのですが, そこまで厳しくチェックしなければならないものなのでしょうか??? 教えてください。給食委託会社に勤務しております。 【質問】
【回答】
ただ, 給食や調理などに従事される方は定期的な検便が義務化され, 腸管感染の原因となる原因菌の有無が検査されています。この検便は, 腸管感染症や食中毒の予防に重要なものであり, 特定の細菌を対象にして検査が実施されています。 貴方の施設では“O1”が対象菌にされているようですが, この菌はさほど腸管感染では重視する必要はありません。検便でO1が検出されているとのこと, 症状がなければ問題はありません。検出期間が長いとのことですが, あなたの場合にはO1が定住性大腸菌である可能性もあります。O1 は健常者の多くからも分離され, 給食にからむ食中毒の検査対象になる菌ではありません。 腸内細菌を正常に保つためには不必要に抗菌剤を服用しないことです。食品としては生きたビフィーズス菌を使用したヨーグルトを毎日食べて下さい。善玉菌として整腸作用が期待できます。さらにオリゴ糖をこれに加えるとビフィーズス菌の発育を促します。 “O1が陰性にならないと勤務できない”と言われたようですが, 上司の方は何を根拠にこのような厳しい勤務制限をしてのか尋ねてください。恐らく, 所轄の保健所からはO1を対象にした勤務停止の指導はないと考えます。 危険な大腸菌 (腸管出血性大腸菌) の血清型で最も重要なものは血清型 (O157: H7) であり, ベロ毒素を産生する株です。非科学的な指導は現場に混乱を招くことになります。 (近畿大学・古田 格) |