04/12/13
■ ONPG試験溶液の調製について
【質問】
 はじめまして。いつもこちらのサイトで勉強させていただいております。“ONPGテスト”についてお教え下さい。

 ONPGテストで使用する培地の作製法で・・・ONPG溶液の作製方法に関し, ある本では“ONPG 0.6 gを1 molのリン酸水素二ナトリウム (pH 7.0) 100 mlに溶解する”とあるのに対し, ある別の本では, “ONPG 0.6 gを0.01Mのリン酸一水素ナトリウム (pH 7.5) 100 mlに溶解する”とありました。どちらが正しいのでしょうか??? また, 誤りの記載では“どこが誤り”なのか (培地の浸透圧???) などをお教え下さい。宜しくお願い致します。

【回答】
 どちらも正しいというのが答えです。ONPGテストは, 細菌のβガラクトシダーゼ活性をONPG (o-nitrophenyl-β-galactoside)を基質として測定する方法です。反応そのものは生化学でいう酵素反応ですので, 反応に影響する因子は基質濃度, 反応pHおよび酵素量 (本テストでは菌体量) となります。質問に記載されたふたつの方法では, 基質濃度は同じですが, リン酸一水素ナトリウム量, すなわちpHが異なっています。βガラクトシダーゼの至適な酵素活性は中性pH域にあり, また酵素により分解された黄色色素 (ONP) の発色域も中性pHにありますので, 中性域のpHに設定する必要があります(pH 7.0_7.5)。リン酸一水素ナトリウム量は, 菌体を懸濁した際に, 菌体の持ち込みによるpHの変動を抑える目的で添加されますので0.01M以上であれば影響は極少ないと考えられます。いずれの方法でも, その出典を明記しておくことが必要です。

(日水製薬・三品 正俊)


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