05/04/18
■ pH 3.0の寒天培地を調製したい
【質問】
 耐酸性微生物の研究をしているものですが, pH 3.0の寒天培地を作りたいのです。以前のこちらの回答をみて, pHを3.0に補正した培地と寒天溶液を, 別々にオートクレーブ (滅菌処理) した後に混合することで, 寒天が固まってくれるのはわかったのですが・・・寒天溶液のほうはpH補正していないため, オートクレーブ後にpH 3.0の培地と混合させると, pHが3.0ではない値になってしまいませんか??? また, 培地と寒天溶液の混合割合が同じになればなるほど, そのpHの“ずれ”が大きくなってしまう気がしてしまいます (混合割合が1 : 1だと, 大きくpHがずれる気がします)。正しいpHのもと, 正しいデータをだしたいので, ご回答, 御指導よろしくおねがします。

【回答】
 溶液のpHは含まれる緩衝剤の種類により, 希釈された場合の変動の動向が変わってきます。これらについては「緩衝液の選択と応用 (辻啓一訳, 講談社サイエンティフィック, 1981)」を参考にしてください。一方培地に含まれる成分にも, 少なからず同じ様な変動要因があると思いますので, 目的に応じ適正な補正方法をご検討ください。

(日水製薬・三品 正俊)

pHが“ずれる気がする”のなら, まずどの程度ずれるのか, 実証してみてください。正しいデータを出したいと思うのでしたら, 自分で経験してみることです。貴君の場合, 正しいpHが正しいデータを保証する訳ですから。培地に含まれる緩衝剤, 緩衝能をもつ蛋白の濃度など, 一概に回答することは困難だと思います。“ずれ”が無視できない程大きい場合には, 必然的に高い濃度の緩衝剤を加えることになるでしょう。

(琉球大学・山根 誠久)


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