06/03/08
■“Ralstonia pickettii”ついて
【質問】
 はじめてメールさせていただきます。私は飲料工場の品質管理を行なっております●●と申します。

 最近, “Ralstonia pickettii”についてMMWRの報告を読んだのですが, R. pickettiiは0.2μmのフィルターも通過すると記載されていました。そこで教えていただきたいのですが, この細菌は人体にどのような影響を持っているのでしょうか???  また, 生育環境はどういった場所になるのでしょうか???。これについて詳しい文献などがございましたら教えていただけませんでしょうか。宜しく, お願い致します。

【回答】
Ralstonia pickettii”はかつてはPseudomonas pickettii, その後でBurkholderia pickettiiに変更され, 現在ではRalstonia pickettiiと呼ばれるようになりました。その他のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌と同様, 水, 土壌, 植物など, 自然界に広く分布しています。健康なヒトの人体内にも分布しており, 主に口腔, 咽頭, 気管などの上気道の常在菌でもあります。健康なヒトがこの細菌による感染症を発症することは極めて稀ですが, 抵抗力の極端に弱った免疫不全の方では呼吸器感染症や敗血症を起こします。また, 日本では稀な病気ですが, 特にcystic fibrosisという病気では重要な病原菌となります。また, 院内感染の原因菌として問題となる場合が報告されています。メンブレン・フィルターを通過できるという特性から, この細菌で汚染された水 (点滴) から感染が拡がるといった事例もあります。最近の総説として下記の文献をまず参照してみてください。

〔参考文献〕
Stelzmueller I, et al.: Ralstonia pickettii?innocent bystander or a potential threat? Clin. Microbiol. Infect. 12 (2): 99〜101, 2006.

(琉球大学・山根 誠久)

戻る