06/12/06
■ 卵黄加マンニット食塩培地の調製
【質問】
 こんにちは。私は食品会社で工場検査室の指導などを行っている者です。

 卵黄加マンニット食塩培地やNGKG培地のような, 卵黄添加の培地を調整する場合, 卵黄添加の適切な方法というのはどのようなものでしょうか??? 弊社の検査室の状況を調べたところ, それぞれが独自の方法で行っています。例えば, 卵黄加マンニット食塩培地の場合, 弊社では次のような方法が行われています。
 (1) オートクレーブ済の培地1,000 mlに直接卵黄 3% (30 ml) を加える。
 (2) オートクレーブ済の培地1,000 mlに卵黄液100 mlを加える。
 (3) オートクレーブ済の培地900 ml (粉末培地量は1,000 ml分) に卵黄液100 mlを加える。

また、添加する卵黄液の調整に関しては卵黄の濃度が
 (1) 20%濃度
 (2) 50%濃度  

卵黄を希釈する液に関しては
 (1) 精製水
 (2) リン酸緩衝液  
 (3) 5%食塩水
 (4) 10%食塩水 

など, いろいろです。適切な (正しい) 方法がありましたら, ぜひ教えてください。よろしくお願い致します。

【回答】
 食品衛生検査指針 (2004) によりますと,「卵黄液は鶏生卵を無菌的に卵黄と卵白に分離して、卵黄に10%滅菌食塩水を等量加えて50%卵黄液を調製し、これを滅菌した培地を冷却後、5_10%の割合に添加する」と記載されています。また, 食品微生物検査培地マニュアル (改訂版) (日水製薬) によりますと, 20%卵黄液を添加すると記載されています。20%卵黄液の作り方は, 卵黄1個約20 gと想定して, 滅菌生理食塩水80 mlを加えて混和するとなっています。この20 mlを180 mlの培地に加えると記載されています。

 2通りの卵黄液について記載しましたが, 一般的に言われている卵黄加マンニット食塩培地は3%卵黄加マンニット食塩培地です。回答者の経験ですと, 2〜5%の卵黄で十分に卵黄反応は確認できました。回答が長くなりましたが, 培地を溶かす水の量は, 添加する卵黄液量を差し引いてください。卵黄濃度は最終濃度を考慮してください。20%卵黄液は50%卵黄液よりもピペット操作が楽です。卵黄を希釈する液は, 塩濃度が高くなればなるほど, 卵黄液がさらさらして取り扱いやすいです。卵黄液の添加量が少なければ (50%卵黄の方が少なくてすむ), マンニット食塩培地の食塩濃度に大きく影響しないため, 滅菌生理食塩水でも, 滅菌10%食塩水でも, どちらでも良いと思います。以上のことを参考にして, 質問者の検査室での培地作製方法を確立してください。

(日水製薬・小高 秀正)

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