05/07/20
■ レトルト食品の無菌試験
【質問】
 いつも勉強させていただいております。私は食品会社で主にレトルトパウチ食品の開発に携わっております。そこで時折, 問題になるのがTGC培地による無菌試験 (細菌試験) の結果判定です。

 レトルトパウチ食品の無菌試験 (=5本のTGC培地に接種) が“陰性”であることが「食品衛生法」で定められています。工場で製品を製造し, その時の無菌試験の結果が5本中1〜2本が陽性 (たとえばBacillusとか) だった場合, どのように対処すればよいかご意見いただければと思います。“LA”が疑われる場合, もう一度サンプルを接種し直すという手がありますが, サンプルがない場合は“陽性”と判断して廃棄してしまうべきでしょうか。それとも, “陽性”が出た以降のロットの製品の殺菌条件を上げるしかないのでしょうか。ご回答, お願い致します。

【回答】
 食品衛生法によると,「容器包装詰加圧加熱殺菌食品は, 当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陰性でなければならない」となっています。無菌試験の結果が時折, 5本中1〜2本陽性 (たとえばBacillusとか) だった場合, その微生物が質問者の会社で製造している容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で“発育するか否か”を検討して判断する必要があります。“LA”の確認には, 同じレトルト食品をオ_トクレ_ブで121℃, 30分間滅菌し, ブラインドサンプルとしてル_チン検査に入れることを勧めると記載されています(Microbiological Control for Foods and Agricultural Products: Preserves and Semipreserves, A. Plusquellec, VHC Publishers)。もし, このサンプルから微生物が分離されるようでしたら完全に“LA”です。

 いずれにしても, 製品の廃棄は社内では大きな問題となることでしょう。社内各部署と連携を保ち, 最終製品から微生物が検出された原因を社内一丸となって突き止めてください。それが明確にならない限りは何度も同じことが発生します。

 最後に参考資料を記載します。

食品の腐敗変敗防止対策ハンドブック: 第6章 常温流通食品 第1節 缶詰・レトルト食品 駒木 勝 (社団法人日本缶詰協会) (株) サイエンスフォ_ラム

(日水製薬・小高 秀正)


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