■ RSウイルス迅速検査法について | |||||||||||||||||||
【質問】
当院ではRSウイルスの迅速検査を日本ベクトン・ディッキンソン社製のイムノクロマト法のキットを用いて行っておりますが, 咳などの症状があっても最初の検査は陰性, 数日後の再検査で陽性になる例が見うけられます。もっと早期に正確な結果を出すために, 何かよい方法はありませんか??? 各迅速検査キットについての感度, 特異度の情報をお持ちでしたら教えて下さい。また, 正しい検体の採取法および感染から陽性化するまでの期間についても何か情報がありましたらお教え願います。 【回答】
・[最良の検体を使用すること]: 抗原検出キットの感度は検査に供する検体の良し悪しに大きく左右されるので, 最良の検体を使って検査することが基本です。弊社では鼻腔吸引液をRSウイルスの迅速検査の検体として推奨しています。RSウイルスでは, 同じ鼻腔からの検体でもスワブによる鼻腔拭い液中のウイルス量と比べて吸引液中のウイルス量は有意に高いというデータがあります1), 2)。また一般に, RSウイルス感染症の小児は感染力のあるRSウイルスを多量に含む鼻汁を大量に生ずるので, 鼻腔吸引による鼻汁の除去は, 気道清掃により患者の呼吸を助けるばかりでなく, 鼻汁の飛散による感染拡大防止にもつながります。 ・[判定時間]: ディレクティジェンEZ RSVは試料滴下後15分で判定できますが, 15分で“陰性”であった場合, 反応時間を60分まで延ばして判定することも可能です。試料中のウイルス量が検出限界付近であった場合, 反応時間の延長により陽性ラインが得られる場合もあります。ただし, 60分以上経過すると“偽陽性”を生じる可能性が高くなるので, 60分以上での判定は行わないで下さい。 ・[よく攪拌する]: 検体を生理食塩水などで希釈する際, 振盪攪拌機などで激しく攪拌して, 検体をよく“ほぐす”とよいとされています。また, ディレクティジェンEZ RSVの抽出試薬Eは, 検査の障害となる検体中の粘液成分を分解する効果をもちます。この効果は短時間でも有効に働きますが, 検体を加えた後に, 振盪攪拌機などで激しく攪拌する (あまり泡立たないように注意する)ことによって, よりよい結果を得ることができます。このように, よく攪拌することはイムノクロマト法に特有のトラブル (多くは粘性が原因で起こります) の回避にも有効です。 〔参考文献〕
2) Ahluwalia G, Emberee J, McNicol P, Law B, Hammond G.: Comparison of nasopharyngeal aspirate and nasopharyngeal swab specimens for respiratory syncytial virus diagnosis by cell culture, indirect immunoflourescence assay, and enzyme-linked immunosorbent assay. J. Clin. Microbiol. 25 (5): 763〜767, 1987 (2) 各迅速検査キットについての感度, 特異度の情報をお持ちでしたら教えて下さい。 添付文書に記載されている弊社迅速診断キット「ディレクティジェンEZ RSV」の感度, 特異度は以下の通りです。感度100% (16/16), 特異度94.3% (82/87)。また, 下記の文献に, 上記試験結果について詳しい内容がありますので, そちらも参照ください。 〔参考文献〕
その他の製品の情報につきましては, その製品の販売元にお問い合わせください。 (3) また, 正しい検体の採取法および感染から陽性化するまでの期間についても何か情報がありましたらお教え願います。 正しい検体の採取法については, 弊社より正しい検体の採取法を説明したポスターやビデオ (CD) を提供していますので, 請求ください。ポスターやビデオ (CD) 請求先は: お客様情報センター(TEL 0120-8555-90)。これらの資料は, 弊社のホーム・ページでもご覧いただけます。 POCRホーム・ページ [http://www/bd/com/jp/poct/] これらの資料には掲載していませんが, 鼻腔吸引液採取に使用するカテーテルサイズと適正吸引圧は次のとおりですので参考にしてください。
カテーテル挿入の長さは, 鼻の先から外耳孔までの距離が目安です。 感染から陽性化するまでの期間: インフルエンザなどでは, 発症からの時間経過と迅速診断キットの感度については詳細がわかりつつありますが, 残念ながら現段階においてRSウイルス感染症の発症からの時間別あるいは病日別の迅速診断キットを用いたデータはインフルエンザほど解明されていません。今後RSウイルス感染症の認知の向上とともに明らかにされていくと思われます。 (日本ベクトン・ディッキンソン・國見 昌生) 【質問者からのお礼】
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