■ 緑膿菌のコロニーの色が変化した | |
【質問】
はじめまして。TSAの斜面培地で緑膿菌を保存しているのですが, モルトン栓からゴム栓に変えたらコロニーの色が緑から無色〜白になってしまいました。これは緑膿菌が好気性であることと関係あるのでしょうか??? また, 白色になったコロニーの増殖能力やプロテアーゼやエラスターゼの活性は低下するのでしょうか??? 教えてください。 【回答】
今回はTryptic Soy Agar (TSA培地) での色素変化で, 色素確認試験の質問ではありませんが, P. aeruginosaの色素産生能は使用する培地の種類によって色素産生能が異なりますので関連して記載します。P. aeruginosaの色素産生能はペプトンに左右されます。Pyoverdinの産生増強にはBacto peptone (Difco), pyocyaninの産生増強にはProteose peptone No 3 (Difco)で色素産生が増強されます。 最後にこれも直接質問とは関係ありませんが, TSA培地の斜面で菌株を保存していると記載されておりますが, TSA培地は比較的, 高栄養培地です。微生物は限られた栄養環境では代謝速度 (増殖速度) を調整して適応します。低栄養培地では代謝と発育速度は遅延しますが, 増殖は可能です。菌増殖は培地環境の条件が良好であれば, それだけ早くなります。つまり増殖が早いと, それに伴って死滅する速度も早いことになります。ですから長期に保存する目的であればTSA培地で保存するのは不向きです。斜面培地で保存する方法も乾燥が早いため, 不向きです。P. aeruginosaは環境細菌で, 栄養要求性も少ないため, 出来るだけ低栄養培地の高層半流動培地に穿刺し, 乾燥を防いで保存すれば室温でも長期に保存可能です (P. aeruginosaは滅菌蒸留水に浮遊させるだけでも充分保存できます)。 (琉球大学・仲宗根 勇)
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