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【質問】
大学病院で働くものです。いつも拝見させていただいています。
緑膿菌でIPM (imipenem) が耐性 (>8 μg/ml) でほかの多くの薬剤に感受性の菌株が何割か検出されます。検査パネルが異常なのか,
こういった耐性機序が増えているのか, おしえてください。
【回答】
確かにIPMのみに耐性と判定される緑膿菌に出会うようになってきました。しかし私の施設ではその頻度は極めて低いものです。私ならまず,
薬剤感受性試験に用いる試験パネルを最初に疑って, 再確認します。IPMが失活して,
規定の濃度より低くなっていないか否か, 精度管理用菌株を用いて確認します。それと,
そのような菌株が分離される患者の背景, 特にIPMの長期間使用の有無を確認することになるでしょう。是非,
貴方の施設での成績をまとめて発表してください。鋭い着眼点をもっておられるのですから・・・
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
丁寧なご回答ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
【読者からの関連質問】
交叉耐性について研究し, 平成17年の感染症学会で発表しましたが, IPMのMICが耐性
(>8μg/ml) で他の抗菌薬に感受性菌はPCアーゼテストでほとんどP(―), C(―)の菌でした。ただし,
他の抗菌薬といってもABPC, CEZなどにはまったく耐性で, 感受性があるのはCPR,
CFPM, CZOPの一部とPIPC, CAZぐらいでした。この質問でいう“他の薬剤”に感受性というのはABPCやCEZ
に感受性がある菌という意味でしょうか???
【回答】
最初の質問は, 検査室の日常検査で緑膿菌を検査すると, 時々IPMのみに耐性の菌株があるという趣旨です。ということは,
検査室では通常, 緑膿菌を対象にABPCとか, CEZといった薬剤は試験しません。ABPCやCEZには当然耐性であると推測して回答しています。
(琉球大学・山根 誠)
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